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薄れゆく愛 ページ19




半年間。わたしは頑張った。
学級副委員長として、立派に勤め上げた。
でもそんな日々も、今日でおしまい。
二期制を取るこの高校で、委員会は半年ごとに変わるのだ。

「話って何?」

最後の日、わたしは檜山くんを呼び出した。
ふられるのをわかっていて、告白するつもりで。
自分の気持ちにふんぎりをつけたかった。
このままじゃ、わたしの初恋は、あの子に脅かされて諦めた、みじめなものになってしまうから。

「わたし、檜山くんのこと、好きなんだ」

結果はやっぱりだめだった。
申し訳なさそうな顔をして、たったのひと言でわたしの言葉をぶった切った。
その潔さがかえってよかった。

---やっぱり、檜山くんのヒロインはわたしじゃなかった。

そう確信できただけで、この告白は意味のあるものになった。
これで諦めもつく。
わたしは、あの子に言われて檜山くんを諦めたんじゃない。
ふられたから。ちゃんと勇気を出した結果がだめだったから。
だからわたしは、檜山くんへの気持ちと決別した。

拒絶こそ、最大の防壁だった。

「Aはよく頑張ったと思うよ」
「うん、めっちゃ頑張ったよね、わたし」
「そうだよ。檜山なんかやめて正解だってば」

この友達思いの優しい子が慰めてくれるうち、不思議とわたしの中の檜山くんの存在が薄れてきた。
わたしは一度も泣かなかった。あの子に詰め寄られたときは泣きそうだったのに。

思いはいつか風化する。恋は一過性だ。
檜山くんのヒロインになれなかったわたしにも、きっと別のヒーローが現れる。

---檜山くんじゃなくていいの?

頭の中のわたしが訊いた。

---うん、だって。
---わたしのヒーロー、檜山くんじゃなかったんだもん。




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めがね - すごく素敵な文章に心が満たされます。あなたの言葉の表現をこうやって物語にして形にしてくださって、ありがとうございます。 (11月11日 4時) (レス) @page12 id: 5aa7ecfc5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨリ | 作成日時:2023年3月6日 22時

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