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「それは、」
「流星様も、この刻印はご存知ですよね？」
肌蹴させた淳太の着物の下には、確かによく知っている刻印があった。
どうしてよく知っているか、って？
「淳太様・・・」
ともにも、同じ刻印があるから。
まあ、淳太にも同じ刻印があるなんて、初めて知ったけど。
「俺は、正当な武家の出身ではありません。
それでも、あなたの御父上様はこの家で働くことを許してくださいました。」
父上は、差別を嫌う人やった。
みなが平等な暮らしができるように、と常に願う。
そんな崇高な考えを持っていた。
「それでいて、ならず者を殺すことなく、更生させていました。」
国の法を犯したならず者で、処刑になった者は1人もいない。
どんな人でもこの国の人は殺さん。
父上はいつも言っていた。
代わりに町で奉仕させ、少しでも健全な生活ができるようにと努めさせた。
「おかげで、この家に来たばかりの頃は人を憎むことしかできなかった俺も、同じような考えができるようになりました。」
ずっと淳太は照史に比べて鈍感やな、なんてからかったりしてた。
でも、違ったんやな。
あの刻印をつけられるような過去があったんやもん。
人の様子を伺わんわけがない。
ともなんて、特にそう。
いつも人一倍相手のことを敏感に感じ取る。
あぁ、そうか。
淳太はそれに疲れたんかもな。
それで、わざと人を見んようにしてた。
たとえそれが、無意識の内に起こってることやとしても。
本能的に人を見るという行為を止めてしまったんやろう。
きっと父上はそれに気づきながら、俺の側においたり、敏感な照史を隣においたりしたんや。
そして、同じような境遇のともを見捨てんとここにおくから、と言ったんやろう。
ほんま、どこまで仏のような思考なんや。
初めから、俺には到底及ぶ領域じゃなかったんやな。
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作者名：roma-tan | 作成日時：2017年11月23日 22時
