流星Side ページ31
歯車は、1度動き出したら止まらない。
たとえ、動き出してからその歯車が狂っていることに気づいたとしても。
どんな力をもってしても止めることはできない。
唯一止められる方法があるとすれば、歯車自体を壊してしまうこと。
それは、信頼している人を裏切ることに似ている。
「流星様っ!!」
普段は廊下を走ることなんてないともが、バタバタと足音を立てて部屋まできた。
その時に、なんとなくもう気づいてた。
後ろには2人の影が続いていること。
「淳太様と、照史様が・・・!」
2人が家の中で使うはずのない刃物を手にしていること。
「流星様を、!!」
俺を、壊しにくること。
「殺すと・・・!!!!」
「流星様。」
静かな淳太の声にゆっくりと顔をあげた。
そこには普段となんら変わりない姿で立つ2人がいた。
刀でも持ってるかと思ってたけど、違った。
2人とも、刀はまだ鞘の中。
まぁ、それが出されるのも時間の問題やろう。
「どうした?」
なるべく冷静に。
「お願いが、あります。」
なるべくいつも通りに。
「願い?」
なるべく、この動揺を見せへんように。
「この家から、出て行ってくださいっ・・・」
「じゅ、淳太様、なんで、」
「とも、お前は黙っとけ。」
「っ・・!!」
いつもより何倍も冷たい2人の声に、ともが思わず体をこわばらせた。
そうか。
ともはこんな2人の声、初めて聞くもんな。
俺は何度も聞いてる。
戦の時に。
その声で誰かを殺せるんちゃうか、って思うほど、普段の声からは想像つかへん冷たい声。
2人にとって、これは戦と同じなんや。
「その理由は?」
「・・・っ」
照史が唇を噛みしめる。
「私からお話します。」
それを見て、淳太が自分の服に手をかけた。
服の下には、俺もよく知るものがあった。
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作者名:roma-tan | 作成日時:2017年11月23日 22時