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「今の流星様は、あの時俺をここで働かせてくれたあの方の目とも、ともをここに置くと言った時の目とも違う。」
目の前で、照史が瞳に涙を浮かべて俯いているのが見えた。
「やから、この城から出て行ってもらおう。」
照史が俯いてるのは、流星様をこの城から追い出すことが辛いからじゃない。
これが流星様にとって1番よい方法ではないとわかっているから。
「・・・いっそ、ほんまに殺した方が、流星様は楽になるんやろうな。」
1番よい方法は、俺らには実行できるわけがなかった。
主君を殺す。
このご時世、そんな話を聞かへんわけじゃない。
むしろ、戦の多くはそれが原因で起こっている。
でも、俺も照史も、流星様を殺してしまうなんて、たとえ天と地がひっくり返ろうと、できなかった。
そのくらい、俺らは流星様と長い時間を過ごしてきたから。
「照史、一緒にやってくれるか?」
「・・・もちろん。」
せめて、流星様が今よりは楽になれたらいい。
少しでも昔の気持ちを思い出してほしい。
そんな俺の想いを察してくれたのか、照史の目に浮かんでいた涙は決意の瞳に変わっていた。
さぁ、作戦を決行しよう。
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作者名:roma-tan | 作成日時:2017年11月23日 22時