とも洋Side ページ15
「流星様っ!」
この家にお世話になって、あなたが戦に出るようになられてから決めたこと。
あなたが家に帰ってこられたときには、1番にその名前を呼ぶ、ということ。
「戦?」
「はい。どんなものなのか知りたくて。」
「そやなぁ、この世のものとは思えんような世界やな。」
僕の知らない場所にいるあなたに何か僕ができることはないんやろうか。
そう思って照史様にお聞きしたんです。
そしたら、そんな風に答えられました。
やから、少しでもあなたにそんな世界から帰ってきたのだと思っていただけるように、名前を呼ぼうと決めました。
僕は、そんな別世界とは無縁の人間です。
きっと、ほかの人が呼ぶよりも帰ってきた、と思えるでしょう?
「ただいま。」
初めの頃は、あなたもそうやって優しい笑顔で答えてくださっていました。
でも、いつからでしょう。
その笑顔は見れなくなってしまっていました。
いや、正確には笑ってくださってはいるのです。
でも、何かが違うのです。
あの頃のただ優しかった笑顔ではない、というか。
僕にははっきりとわかりません。
かろうじて変化したと思うのは、鎧についた血飛沫の量でしょうか?
戦を重ねる度により濃く、朱く染まっているような気がします。
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作者名:roma-tan | 作成日時:2017年11月23日 22時