34話 ページ34
「晶哉？」
晶哉に言われた通り、屋上に向かうと晶哉が、柵の上にまたがって座っていた。
バランスを崩してしまえば、地上に真っ逆さま。
「あ、みっちー」
「そこ、危ないで、、」
「大丈夫、大丈夫！」
服から覗く晶哉の体には、複数の傷痕が残っていた。その体が痛々しくて、目を逸らす。
「あんな、みっちー。もう俺、疲れてん」
「え、？」
聞いたことが無い晶哉の弱々しい声。晶哉の目からは涙が溢れていた。
俺の前では泣いたことの無い晶哉が嗚咽を漏らしながら泣いている。
「みっちー、ごめんなぁ」
何故、晶哉が謝る？その言葉は本来、俺が言わなくちゃならないんだ。なのに、なんで？
「生きることが、辛いねん。毎日毎日、殴られて、蹴られて。
もうええわ。こんな人生なんやったら、死んだ方がマシや」
晶哉が零す、初めての弱音。あぁ、俺は、晶哉の何を見ていたのだろうか？
晶哉の涙も本音も知らないくせに、親友だなんて名乗って。俺は、晶哉のことを何も知らなかった。
「ありがとうな、みっちー。俺と仲良くしてくれて」
そう言った途端、晶哉の体が傾いた。咄嗟に差し出した右手は、晶哉の左腕を何とか掴めた。
「あかんって！良規くんやって、誠也くんやってまだ晶哉に生きてほしいって！！
俺やって、晶哉とまだ色んなことしたいねん！！」
出来る限りの大声で叫んだ。心の底から、腹の底から大声で。
やっぱり俺の倍ある身長の晶哉を俺一人では持ち上げることが出来ない。
だんだん、晶哉の腕が手からずり落ちていく。
「みっちー、ありがとうな」
瞬間、俺の手から晶哉の腕が離れた。
「晶哉！！！」
目の前で起きた悲劇に、頭が追いつかず一人、屋上に立ち尽くした。
地上からは多くの悲鳴が上がっているが、俺の耳には全く入ってこなかった。
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桜(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます！次章も楽しんでいただけたらなと思います。これからもよろしくお願い致します！ (2020年5月5日 11時) (
レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 最高でした！このお話から初めて読ませていただきましたがとても読みごたえがあり楽しかったです。また桜さんのお話に出会えることを願っています。 (2020年5月4日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 明日香さん» コメント、ありがとうございます！これからも頑張って更新するので、お付き合い下さいませ＜(_ _)＞ (2020年4月21日 16時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 毎日、更新楽しみにしています！このシリーズから読み始めたのですが、すごく読みごたえがあって大好きな作品です！更新頑張って下さい！ (2020年4月21日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - みあさん» ありがとうこざいます！！できるだけ毎日更新していくので、どうか最後までお付き合い下さい！！コメント、ありがとうこざいます！ (2020年4月11日 8時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜 | 作成日時：2020年4月9日 14時
