22話 道枝side ページ22
「きりーつ、れーい」
『さようなら』
やる気のない学級委員の号令を合図に、それぞれ、教室を出ていく。
今日は、恭平の机には悪口が書かれていなかった。彼奴らも飽きてきたのだろう。恭平を虐めているのをあまり見かけない。
俺も帰ろう、そう思い鞄を手にする。
「高橋くん、帰ろ〜」
「おん、あ、ちょっと待って。」
「みっちー、はいこれ。返却は無しやからな。」
「え、」
「お待たせ、謙杜。」
「高橋くん、積極的やなぁ、」
「そう？」
二人の声はだんだん離れていき、教室は静寂に包まれた。突如、恭平に手渡されたのはグチャグチャに丸められたノートの切れ端。
「なんや、これ……」
紙を広げると、恭平の字で何かしらのIDが書かれていた。何のIDだ？
ブブッ
静かな教室にバイブ音が鳴り響く。携帯を見ると、長尾から
〔さっきみっちーが貰ったん、高橋くんのLINEのIDやで。ちゃんと追加しーや！〕
と、このIDの説明が送られていた。
「何で、、？」
恭平から貰った紙をポケットに突っ込む。鞄をもう一度手にし、教室を出ていく。
恭平はどんな心境で俺にIDを手渡したのか。何なら、長尾に頼めば俺のLINEなんて手に入れられただろう。
俺が恭平のLINEを追加しなければ、恭平は俺のLINEを手にすることは出来ない。
「全く、分からんわ…」
恭平の考えていることが分からない。長尾も不思議っ子だが、恭平もなかなかだ。
あの、ナルシスト野郎め。何の意図があって、俺にこれを手渡した。
「恭平は、辛くないんかな」
俺の知っている恭平は、いつも鏡を見ている。虐めなんて、気にしてないような。
俺はただ、見ているだけで、辛くなる。
それはきっと、自分が「綺麗事」ばかり言っているからだろう。
「長尾みたいになれたら良かったのに」
長尾なら、晶哉も救っていただろう。現に、恭平を救っている。
「正しい人間」とはなんなんだろう。
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桜(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます！次章も楽しんでいただけたらなと思います。これからもよろしくお願い致します！ (2020年5月5日 11時) (
レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 最高でした！このお話から初めて読ませていただきましたがとても読みごたえがあり楽しかったです。また桜さんのお話に出会えることを願っています。 (2020年5月4日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 明日香さん» コメント、ありがとうございます！これからも頑張って更新するので、お付き合い下さいませ＜(_ _)＞ (2020年4月21日 16時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 毎日、更新楽しみにしています！このシリーズから読み始めたのですが、すごく読みごたえがあって大好きな作品です！更新頑張って下さい！ (2020年4月21日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - みあさん» ありがとうこざいます！！できるだけ毎日更新していくので、どうか最後までお付き合い下さい！！コメント、ありがとうこざいます！ (2020年4月11日 8時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜 | 作成日時：2020年4月9日 14時
