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16話 ページ16

「有岡先生、」

「ん?どうしたの、こんな早い時間に」

「制服って、貸して貰えます?」

「あぁ、良いよ。サイズ、合うかな?」



いつもより数十分も早くに登校した俺は、保健室へ直行した。保健室だなんて、何度目か。




「はい、これ。落し物とかなんだけど」

「ありがとうございます。」



早い時間だというのに、有岡先生はちっとも嫌な顔をせずに、制服を貸してくれた。少し不思議そうにしてたけど。



「じゃあ、また明日返します。」

「あ、そんな急ぎじゃなくていいよ。道枝くんの都合のいい時で大丈夫だし。」



有岡先生はニコッと暖かく笑った。有岡先生が皆から好かれる理由がよく分かる。



にしても、何で俺の名前を知っていたのだろうか。もしかしたら山田先生が俺の事を話しているのかもしれない。




「失礼しました」

「あれ?みっちー?」

「え、きょ、へい?」



保健室を出ると、体操服を持った恭平とバッタリ会った。



「どうしたん?体調悪いん?」

「い、いや。特には……」

「ふーん。」

「恭平は?」

「俺は、体操服返しに来てん。こないだ、借りたから」

「そやっ、たんや」

「みっちー、ほんまに大丈夫?顔色悪いで」




ぎこちない喋り方の俺を心配したのか、恭平が俺の顔を覗き込む。



「っ、大丈夫!ちょっと寝不足なだけやから!」



そう言って立ち去ろうとした。その時、



「みっちーはさ、俺のこと嫌い?」

「へ、?」



悲しそうな声で恭平がそう尋ねてきた。


「俺は、みっちーのこと嫌いやなんて思ってへんよ」



何で、なんで?俺は友達を見捨てたんだぞ。恭平の虐めも見て見ぬふりしてるのに。どうして恭平はそんなこと言うの?



「やから、そんな顔「ごめん、先生に呼ばれとるから」っ、、」



恭平の言葉を遮り、ダッシュでその場を離れる。



ごめんね、恭平。今の俺は、恭平の隣にいれる程、綺麗な人間じゃない。



必ず、いつか恭平の目を見て話を聞くから。まだ、晶哉と会えていないから。








ごめんなさい。今は、まだ。

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(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます!次章も楽しんでいただけたらなと思います。これからもよろしくお願い致します! (2020年5月5日 11時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 最高でした!このお話から初めて読ませていただきましたがとても読みごたえがあり楽しかったです。また桜さんのお話に出会えることを願っています。 (2020年5月4日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 明日香さん» コメント、ありがとうございます!これからも頑張って更新するので、お付き合い下さいませ<(_ _)> (2020年4月21日 16時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 毎日、更新楽しみにしています!このシリーズから読み始めたのですが、すごく読みごたえがあって大好きな作品です!更新頑張って下さい! (2020年4月21日 13時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みあさん» ありがとうこざいます!!できるだけ毎日更新していくので、どうか最後までお付き合い下さい!!コメント、ありがとうこざいます! (2020年4月11日 8時) (レス) id: 842a00e709 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月9日 14時

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