【wrwrd】貴方の聲を聞かせて。 (ページ9)

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第九声ページ9

『桃瀬店長！遅れてすみません！』

途中の高速道路に何回か引っかかってしまい予定の時間より10分遅れてバイト先についてしまった。そんな私を店長は笑顔で大丈夫だと言ってくれて「休みやのにすまんなぁ」と逆に謝罪させてしまった

『いえ、暇だったので大丈夫です』

嘘だがこうでも言わないと店長は優しい人だから余計困らせてしまう、「暇だった」と聞いた店長はニッコリ笑って

「注文受付の方頼んでええか？他の子ら皆厨房で忙しいてしやーないねん…」

と言った、もちろん承知して私はお客さんの注文をメモしながら厨房へ伝言する
今日はとにかく忙しくて休む暇なく次々と呼ばれる

それに今日に限って飲み会に来る人達が多いせいで1回の注文で10個以上もの食べ物を追加でどんどんと頼まれてくる、厨房が忙しい理由がわかったような分からないような…

そして最後の客が帰り店は落ち着きを取り戻した

『(やっと帰れる……。)』

そう思い休憩所に行くと先に休憩していた店長が椅子に座って手招きしてきた、私か？と思い辺りを見渡すが誰もいないので私だと判断して店長のいる場所へ行く

「Aちゃんすまんなぁ…おかげで助かったわ。ありがとう」

『いえいえ休みだったし暇だったのでちょうど良かったですよ』

微笑んでそう言うと店長は懐からガサガサと何かを探して茶色い封筒を渡してきた

「これ少ないかもやけど来たょう入ってくれたボーナス、使ってや」

『え！？いや、、えぇ……良いんですか？』

「ええよ、でも他の奴らには内緒やで」

そういい人差し指でシーとジェスチャーする店長に少し可愛いと思ってしまった、もちろん店長は私よりずっと年上でかっこいいけど偶に見せる子供のような笑顔にはついドキッとしてしまう

「ほんまAちゃん有能で助かるわー、他の若い子何もせんから困っててん。これからもよろしくな」

『…！はい！』

誰かに必要とされることが嬉しくて、このバイトは続けようと思った。それに店長も優しいしバイトの先輩も面白くて一緒にいて楽しい

『桃瀬店長、相談があるんですけど……』

「？どうした？なんでも相談乗るで」

店長なら何きっといい案が出るだろうと思いあの子の事を正直に話した、昨日公園で倒れて拾ったこと、施設には行きたくないと頑なに拒否すること、家で育てることになった事など全て

すると店長は意外な言葉を放った