「ねぇ、北さん。」

キタキツネ29匹 ページ29

治〜side〜



あれから、ツムと北さんの詰問によって殆ど喋ってしもうたけど、元はと言えば角名のせいや。



北さんは無言で考え込んで喋らへんし、ツムはなんやギャーギャー騒ぎよるし‥‥




尾白「要するに、Aは今告白を受けに行っとるってことやろ？」



侑「北さん！止めに行かんでええんです！！？」



北「…Aが俺に言わへんかったんや、止めには行かへんよ」





その言葉を聞いたツムはなんや言いたそうやったけど、北さんが更に言葉を続ける





北「Aの事やし多分これは俺への仕返しやと思う。負けず嫌いやから」







それを聞き納得する。先ほど会った時はツムに茶化されたくないからと言うとおたけど、本来の理由はこれか。


何日か前の喧嘩した理由も北さんの同級生によるもんやったし、日頃から北さんのモテ方について相談はされとった。



実際、大人しめの女子からの人気が熱いらしいしな。



それを知っていたAが、このチャンスで北さんの気分を味わいたいと考えるのは十分あり得るわ。




どうせ、侑か北さんにでも自慢するつもりやったんや。









北「せやから、Aが言うまで俺は知らんふりするで」



侑「ええんですか、北さん」





眉を顰めてやはり納得がいかないような表情でツムが最終確認のように問いかける。






北「おん。侑もAをあんま怒らんといてな」







そう言って苦笑する北さんはほんまに何もかも見透かしとるみたいやった。






角名「北さんテレパシーあるよね」


治「おぉ、あれは持っとるわ」








きっと、北さんには何もかもお見通しや。





Aが考えとることも




俺らが考えとることも




そして、ツムが抱いとる恋心も









「ほんま、恐ろしいわ」

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