雨降る夜に待ち合わせを【桃】 (ページ34)

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いわゆる一目惚れってやつかな
　
　
つくづく自分も面食いだなと思う
　
　
傘を貸してくれた日から彼のことが気になっていたんだ
　
　

　
　
でも、もうその気持ちは心の奥底にしまっておこう
　
　
芸能人と知った以上、友達になった以上
　
　
これ以上のものはもう一切望まない
　
　
望んではいけない
　
　
　
そう自分に言い聞かせた
　

　

「確かに。そう思うと、私もさっき躓いて良かったです」
　
　
『いや、でもまじでドンピシャで被ったからびっくりしましたけどね(笑)』
　
　
「コントロール力が良くて本当ごめんなさい(笑)」
　
　
『いや、狙ってたんかい！！』

　
　
2人して大爆笑
　
　
こんなに笑ったのいつぶりだろう
　
　
涙が出てくるよ
　
　
私が笑うと嬉しそうにもっと笑う小瀧くん
　
　
ほら、これで十分なんだよ
　
　
十分幸せじゃん
　
　

　
　
「はぁ、久しぶりにこんなに笑いました」
　
　
『Aちゃん、笑った方が可愛いよ、』
　

「いやいやそんなそんな」
　
　
『ほんまですって！ほら笑って、にーｯ！』
　
　
「え？(笑)」
　
　
『その顔もいい！今日はAちゃんの新しい顔いっぱい知れた感じするな～』
　
　
「あ、そろそろ浴室乾いたかな～...」
　
　
『いやまだ、喋ってたやん！』
　
　

　

あれは心臓に良くない
　
　
焦って急いで浴室に逃げてきた
　
　

脱衣所の入り口に掛けておいた服は
　

浴室乾燥にかければあっという間に乾くくらいにまでなっていた
　
　
乾いた室内に洗濯物をぶら下げて、乾燥をON

　
ﾌﾞｩｰﾝと鳴り出す室内の音に負けないくらいにドクドク鳴り止まない心臓

あの人は距離の詰め方を間違ってる、絶対
　
　
ビックリした
　
　
鏡で顔を確認すると少しだけ赤くなってる
　
　
　
「絶対見られた・・・」
　
　
　
何よりも照れて赤くなったこの顔を間近で見られたのが恥ずかしかった
　
　

顔の赤みを落ち着かせて、心臓も落ち着かせて
　
　
彼のいるリビングへ
　
　
　
『遅かったっすね』
　
　
「うん、ちょっと」
　
　
　
誤魔化し下手過ぎやしないか私
　
　
　
『ふぁ～』
　
　
「眠いですか？」
　
　
『全然です』
　
　
「でも、流石にこの時間だし、仕事終わりだし」
　
　
　
言えないだけでもちろん疲れてるよね、

初めての家で気も張ってるだろうし
　
　

　
「あと少しで洗濯物できるので、寝ててもいいですよ」