雨降る夜に待ち合わせを【桃】 (ページ4)

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「すみません、あっ」
　
　
　
プリンのお兄さんだった
　
　

『あっ、よう会いますね』
　
　
　
この時間帯によく来るんだ、
　
　
なんて呑気に思ってたとき
　
　
鼻で笑われた
　
　
　
　
『もしかして雨降ってへんのにわざわざ傘持ち歩いててくれたんですか？』
　
　
　
持っていた傘を指差してそう言った

　
　
　
　
「返そうにも名前も何も知らないから、
　少しの期待を持って、いつ会っても渡せるようにって一応」

　
　
　
名前か、と彼は身に付けていたメガネとマスクを外した
　
　
　
　
『僕、小瀧望って言います』
　
　

「ありがとうございます、私は神田Aです」
　
　
　
2人してよろしくと改めて軽く挨拶を交わした
　
　
　
　
綺麗な顔だ、俳優さんみたい
　
　
なんて思いながらまじまじ見つめてしまう
　
　
　
　
　
そんなとき彼の携帯が鳴った
　
　
　
『すみません、ちょっと失礼します』
　
　
急いだ様子で、すみませんともう一度だけ言って彼は走って行ったしまった

　
　
　
　
　
　
あっ、また渡しそびれた
　
　
　
でも、また会えそうな気がした

　
だから追いかけなかった
　
　
　
　
「今日はプリンあるかな・・・」
　
　
　