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「え?」
予想外のこと過ぎた、私からしても、きっと小瀧さんからしても
『俺が言おうとしてのは、傘の事です』
「傘?」
『神田さん覚えてるか知らんけど前にスーパーであった時、俺 ”新しい傘買った” みたいなこと言ったんですけど、あれ嘘なんです』
さっきのことがあったのに普通に話す小瀧さんに動揺が隠せなくてまともに話が入ってこない
『あの時実は傘を貸したこと覚えてたし、新しい傘なんて買ってなかったけど、どうしても神田さんに俺のこと覚えてて欲しくて。
俺を特別扱いしない人なんて、色目使ってグイグイこない人なんて初めてで、やからなんか・・・』
そのあとの言葉は濁して、彼は笑った
「傘の、ことだったんですね・・・そっか、傘か、」
『そんなことより!俺のこと知ってたんですね、恥ずかしいっすわ〜』
「すいません、」
『いやいや全然!むしろ知ってくれて一安心しました
知ってたのに変わらず接してくれて俺は嬉しかったですよ』
「それはだって、」
「だって、小瀧さんは小瀧さんですから、まぁ芸能人だったわけだけど、初めましての時の小瀧さんは私の中では普通の人でしたから今さら何も変えるつもりはないです」
正体を知ったときはすごい動揺した
けど、知った上で接して思ったのは職業が ”芸能人” ってだけで
彼は私みたいに職業 "OL” って言う一般人とさして変わらない
多くの人に顔を知られてるか知られてないかの違い
そんなこと、今の私と小瀧さん2人の空間の中では全然関係のないこと
自然に出た言葉だった
図々しい言い方だった気がする、知ったかぶりしてた言い方だった気もする、
それでも嘘ついてまで小瀧さんに気に入られたいほど
今の状況に浮ついているわけじゃない、それだけは言える
「だから・・・っ!」
急に小瀧さんの大きな体に包み込まれた
強くなる力と早くなる鼓動
何が起こったのか理解するのには時間がかかった
『ありがとう』
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作者名:弦 | 作成日時:2020年7月13日 6時