おとなりさん【熊谷みつ夫】 (ページ9)

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夜11時
私と熊谷はプチ飲み会を始める

「てか酒弱いのにもうこんなに飲んだんすか」

『うん、なんか落ち着かなくて』

早速私の頬を触って熊谷は微笑む

「あっつい」

不意な笑みに心臓が高鳴り
元々高い体温がもっと上がってしまう

「Aさんって、なんで裏道さんと別れたんですか」

思ってもいなかった唐突な質問に私は飲んでいたお酒を吹き返してしまう。

熊谷は私の背中をさすりつつ、回答を待っているようだった

『ごほっごほ！…知ってたの？』

「この間、裏道さんから直接
一年くらい付き合ってたんですよね？」

付き合っていたのは真実
しかし別れてから友達に戻り普段通り関わることが出来ているのですっかり忘れていた。

熊谷は決して私から目を逸らさない

『うん…、まあ、耐えきれなかったって言うか。
釣り合わなかったんだよね』

「…というと」

『裏道って大学時代から人気者じゃん。
顔もいいし、運動できるし、性格ひねくれてるけど…

それでも女の子から人気ありすぎて』

嫉妬した、その一言すら恥ずかしくて言えない
私なんかが嫉妬なんて

「ヤキモチ？」

『はは、気持ち悪いよね。私がそういう"ヤキモチ"とか"嫉妬"とかさ。』

笑って誤魔化すしかない
それでも熊谷は首を横に振った

「…俺は、そういうとこ可愛いと…思います
あくまで俺の意見ですけど。

きっと裏道さん、まだAさんのこと好きですよ」

『え、ええ？なわけ』

「Aさんも…未練ありますよね」

私の部屋に置いてあるタバコ、ぬいぐるみに目を配り、熊谷は悲しそうな顔をする

「全部…裏道さんとのお揃いですよね」

『まあまあ、もう別れてるし！』

「俺嫌です。…、…。」