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「?!あ…ぁ…お、に…」
ガクガクと震えて主人は意識を失ってしまった。怖いのはこっちも同じだわ!
「だから騒ぐなと言ったのに!」
そう半ば叫びながら鬼の前に立ちはだかる。
『なんだ、お前は?
あぁ…お前が私の正体を暴いたんだってなぁ?下手に知恵の回る子供よ…死ね。』
鬼が襲いかかってくるのをなんとか回避した。
「うぉ!!?」
子供の体は小回りが効いても、大きく動くことができない。
『せっかくの稀血の男を見つけてその家に入り込んだっていうのに…邪魔してくる奴がいるなんてなぁ?!』
「稀血?!」
なんでこの邸が狙われていたのかようやく理解した。
この少女の鬼は稀血である主人を仕留める為に女中や使用人を殺し外堀を埋めていたのだ。
「あー、くそ!もう仕方ないな!」
黒龍の姿に変身し、主人を咥えて天井を蹴破って浮上する。
『…は?おまえ、人間じゃ…』
屋根瓦を崩しながら、空へ高くへ上昇する。
幸い主人は意識を失ったままなので龍の姿を見せることもなく運ぶことができる。
どうする!?どうすれば…
どうすればいいか考えろ!
これ以上誰も殺さない最善策を考えるんだ。
………そうだ。鬼に追いつかれる前に藤の木が咲く場所に彼を逃すことが出来れば…_
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作者名:koumori666 | 作成日時:2020年4月25日 11時