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短縮授業も終わり、新しい教室で始めてのお昼の時間。

私の席にお弁当を片手に梓が駆け寄ってくる。



梓「Aの席でお昼食べよー!」



前の席の子に借りた机と椅子を向かい合わせにさせる。

持ってきたお弁当を広げて食べようとした瞬間、後ろから伸びてきた手におかずがひとつ抜き取られていく。





岸「もーらいっ!」


『ちょっと、そうゆうのって普通もらう前に言うもんでしょ。』





わたしの言う言葉なんて気にも留めず、売店で買ってたであろうパンをかじる岸くん。





廉「おい、置いてくなや。おまえさ、せめて座って食べよーや。」


梓「ほらー!少しは永瀬を見習いなよー!」





みんなに怒られて、さっせん。って永瀬くんの前の席に座る。





廉「2人はお弁当なんや!うらやましーわ」



『そんなに見ても大したもの入ってないよ?(笑)』





じっとお弁当を覗き込まれるから、なんだか恥ずかしくなって手でかくす。





梓「Aは自分で作ってるんだよ!すごいでしょ?」


岸「お前、人のこと自慢してないで少しは自分も練習しろよ」





また始まった幼馴染の2人が言い合いを微笑ましく見ていると、まじまじと私のお弁当が見つめられていることに気づく。




廉「え!これ自分で作ったん?」



『え?あ、そうだよ!うち共働きでお母さんも朝早いから』



廉「凄いやん!この卵焼きとかめっちゃ綺麗やし」





目をキラキラさせて話す永瀬くんがなんだか可愛く見えて思わず入っていた卵焼きをさしだす。




廉「???」



『どーぞ!なんか褒めてくれたお礼(笑) 口に合うか…


廉「ん‼ めちゃ美味い!ほんまにもらっちゃってよかったん?」




わたしが話し終わる前に食べて感想を言う永瀬くん。

口元を押さえて、大きな目を見開いている。



自分で作った卵焼きこんなに褒められるの初めてで
なんだかくすぐったい。





『喜んでもらえたならよかった。』




嬉しそうに卵焼きを食べる永瀬くんを見ていて、このとき岸くんと梓が2人でニヤついてることなんて気がついていなかった。









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作者名:konko | 作成日時:2019年9月7日 18時

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