転生したら幼児でした 2

76話 ページ35

みんな、案外簡単に信じてくれた。いつもと変わらない様子で受け入れてくれた。まぁ、太宰さんや社長だってそうだったけど。

みんなやっぱりいい人たちだ。私は出会って間もないこの人達が本当に大切だと思ってる。

これって幸せ、なのかな。

なーんて思ってじーんときていると。

「で、僕は勿論答えを分かってるんだけどね？十八年生きてきたからって普通に生きてたらマフィアやら何やらにもっと大きく反応すると思うんだよね。

その辺、説明してくれない？いや、分かってるんだけども。」

「そう、それですわ。ナオミが思ってた不可解な点。」

「…。」

それは、太宰さんにも社長にも、この世界の住人には言ってない領域である。

言いたくなかったから、誰にも言ってこなかったことだ。これは転生と違って、私からしたら知られちゃ困ること。

まぁ、言ってないだけで、太宰さんも社長も乱歩さんも、勘がいいから気付いているだろうけど。

…。

あんな職業やってて、今更人助けやりたいなんて思ってるなんて、自分で言うのも何だけど、中々滑稽な事だろうな。

でも、隠したら隠したでなんだか信用してないみたいな感じになるのかな。

前職言っても、探偵社の皆なら受け入れてくれるのかな。
ちょっとそう思ってしまう部分もある。


「他人の過去にズカズカと入るのは感心しないな、乱歩。人には言いたくない事の一つや二つあるだろう。」

そこに社長が入ってきた。タイミングが良さすぎるのだが。見ていたのだろうか。

「…社長がそう言うなら引いてあげてもいいけどさぁ。」

案外簡単に引き下がる乱歩さん。引き下がってくれたけど。

やっぱりなんだかこの人達ならって思ってしまう部分があって。

「…馬鹿にしないなら言ってもいい、ですけども。自分で言うのもなんですが、前職言うだけで私の言ってきたことが中々滑稽な感じになりますよ？」

私はそう言った。社長も乱歩さんもナオミさんもその他大勢がこっちを見る。

「え…いいの？なんだか凄く言いたくない事っぽかったけど。」

「ナオミもつい訊いてしまいましたが、別に無理して言わなくてもいいんですよ？」

「なんか、探偵社の皆さんなら、言ってもいいかなーって思えてきたので。

まぁ、内容はクソなんですけどね。」

77話→←75話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す