47話 ページ4
「じゃあ、お前らが助けるか?」
国木田さんにそう言われた時、悔しいけど私は言葉に詰まってしまった。
…私にできる事なんて、殆ど無いかもしれない。警察やポートマフィアから狙われている鏡花ちゃんを庇いきる方法が、思いつかなかった。
それは敦くんも同じなようで…。
「小僧、小娘。不幸の淵に沈んだ者に心を痛めるなとは言わん。
だが、この界隈は、この手の不幸で溢れている。
お前らのボートは一人乗りだ。救えぬ者を、救って乗せれば共に沈むぞ。」
国木田さんの言ってる事は分かる。きっと心配とかもしてくれてるんだろう。でも…それじゃあ私は。私が転生して、やろうって決めていた目標は、何だったんだって話だ。
「方法が分からなくても。やろうって決めた事は頑張らないと…。」
方法が分からなくても、やれるだけ足掻いてみたらだめですか?
諦めたらそこで、試合終了だよ。
国木田さんには悪いけど、私は鏡花ちゃんを助ける方法を模索したい。頑張って見つけたい。考えるんだ、私。
─横浜 中華街─
「食べ過ぎた…。」
鏡花ちゃんが呟いた。
敦くんが財布の中を覗きながら「そ、そうだね…。」と返す。
「足りて良かったですね、敦くん。」
「本当にそうだよ…。足りて良かった。」
そう言った後、敦君は鏡花ちゃんの方を見た。私も一緒に見てみると、鏡花ちゃんが肉まんを持った男の子の肉まんを見ていた。
って、そうじゃないよね。多分敦くんも考えてるんだ。鏡花ちゃんを助ける方法を。
「行こう。」
敦くんが言った。
「どこへ?」
「え?」
「どこへ、行くの?」
鏡花ちゃんの目はどことなく冷たかった。
敦くんがその…とか、それは…とか言って言葉に詰まっている。はぁ…。
「勿論、鏡花ちゃんの行きたいところですよ。」
「そ、そう!Aちゃんの言う通り!鏡花ちゃんの、行きたいところだよ!ほら、今日は僕らも休暇を貰えたし、君も中々外で遊ぶ機会なんて無かったでしょ?
君くらいの女の子が好きなところ!例えば…デートスポットとか。」
「デートスポット…ですかっw」
慌てた敦くんの考えついた答えが面白すぎて笑ってしまった。デートスポットって…w
「デート?」
「うん。」
「あなたと?」
「うん。…ん?…ってそんな深い意味がある訳では!」
「ちょっと!私もいますよ!忘れないでください!」
鏡花ちゃんの顔ちょっと赤いんですけど!!
「…行こ?」
そう言って歩き出す鏡花ちゃんの後を、敦くんと私はついていった。
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あーちゃん(プロフ) - 78話のヒロイン達のお話の題名はどのような題名なのですか? (2019年6月12日 0時) (レス) id: 32e2eab4af (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ麻呂(とよ)(プロフ) - 今更ですが、女医で、せんせいと読む事にしておいて下さい…。 (2019年3月1日 11時) (レス) id: 06dfc878d9 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ麻呂(とよ)(プロフ) - 鼠ちんさん» なるほど…。今後夢主ちゃんに毒を使わせるときはそうさせていただきます!調べて頂き、ありがとうございます! (2019年2月26日 20時) (レス) id: 06dfc878d9 (このIDを非表示/違反報告)
鼠ちん(プロフ) - 調べました所トリカブトに含まれる毒性物質の致死量は2~6mgだそうで、トリカブトが4mgでもこれだけの量が含まれている事が多いのでそこまで薄めることは専用の機材でもない限り不可能かと思いますの体重1kgに対し0.3mgの鈴蘭はいかがです?いや猛毒には変わりないですが (2019年2月26日 20時) (レス) id: 1616c0402d (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ麻呂(とよ)(プロフ) - 今回の様によく知らないくせに使ってる…みたいな所がございましたら、どうぞ現実的なツッコミをいれてくだされば…。 (2019年2月26日 17時) (レス) id: 06dfc878d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましゅ麻呂(とよ) | 作成日時:2019年2月22日 19時