転生したら幼児でした 2

71話 ページ30

そして話が始まった。のだが。
「presidentふくだ…ふくだ？」

「福沢だ。」

「そう、それだ。」

こい…こほん。この人話する相手の名前すら覚えていなかったようで。
いや、名前くらい覚えていたらいいのにね。


まぁ遠くの国から遥々ご足労ありがとうございます？
そう、遥々ここに来た用件は何なんだろう。敦くんに懸賞金かけたのがこい…こほん。この人達って事は、敦くん渡せーって殴り込みに来たのかな。だとしたらどうしよ。

そんなことを考えながら、お盆に乗せていたお茶をナオミさんに渡し、それをナオミさんがその人の前に置いた。

その人はカップを持って言った。

「ほぉ…珍しいデザインだ。陶磁器には詳しいつもりだったのだが、どこのブランドかな？」

金持ちは聞いているとイライラするような事ばかり仰るのですね…。

「隣の下村陶器店です。」

ナオミさんが答えた。

「それは失礼。

俺の事は、フランシスと呼んでくれ。old sport。」

ギルドという寄り合いを束ねていると仰っしゃりました。知っております。その後、個人的に運営などをしている企業についてもお話して下さいましたが。

前置き長い！本題はよ！

そう思っていたら社長が遮ってくれた。

「フランシス殿。
貴君は懸賞金でポートマフィアを唆し、我々を襲撃させたとの報告があるが、真か？」

「あぁ、あれは過ちだったよ。まさかこの国の非合法組織が、あれほど役立たずとは。」

この人、絶対悪いことしたって思ってない。敦くんがおま…こほん。この人のせいで何回殺されかけた事か。
やばい奴だ、こいつ。あ、失礼。

殺されかけた敦くん凄く痛かったろうに。同じ様なことされてみればいい。

べー！

と、心の中で思った。

「謝罪に、いい商談を持ってきた。」

後ろから見てるだけだから、表情は分からないけど、何となく社長の目が鏡花ちゃんの時みたいに、あるいはそれ以上に険しくなってる様な気がする。ほんと、見えないのになんで分かるんだろ？

「この会社は悪く無い。街並みも美しいしな。そこでだ。」

そう言いながら、元から持ってた銀色のアタッシュケースを開く。

中から出てきたのは、はい、札束。

うわ…成金。

「この会社を買いたい。」

この人、ほんとにやな奴。ていうか、人間性腐ってるでしょ…。

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