【d！】この辟易した世界に終焉を。【短編集】 (ページ1)

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今更／ kn ページ1

轟音と閃光と共に緋色に染まった炎が踊るように上がり、あちらこちらで人々の悲鳴が聞こえる。

隣国との関係は年々悪化の一途を辿り遂には武力行使という最悪の結末にたどり着いてしまった。

戦況はご覧の通り、食べ物は愚か資材も枯渇してまさに四面楚歌、絶体絶命という言葉が憎たらしい程に似合う状況だった。

「あーあ、こないなことになるんやったら逃げれば良かった。」

口で毒を吐くも時すでに遅し。逃げるなんて出来るはずもないし、

寧ろ、しなかった。
なぜかって？それは、お前が、Aが、いたから。
どんなに苦しくても傍でいつも笑っていてくれたから。

Aがいると不思議と無いと散々罵られてきた心とやらが暖かくなったようなそんな錯覚まで覚えてしまっていて。

横たわるAを真似るように地面に倒れ込み目を閉じる。

「お前のせいやぞ、こんなになったのも、」

向日葵のように弾けた笑顔も、
般若のような可愛らしいしかめっ面も、
ぐしゃぐしゃになった泣き顔も、
今思えば、全部全部大好きだったのかもしれない。
否、大好きだったのだ。

気づかなかったのでは無い、知らなかった。
Aに会うまでは、
必要のないものだって、要らないものだって決めつけて何処かに落としてしまっていた。

それを拾って大事に育てて教えてくれたAはもう。

「なあ、ええ加減目、さましてもええんやないの。」

遅すぎた、この感情を知ったのが、何もかも遅すぎたのだ。

「置いて行かんでや、」
Aに会うまで寂しいなんでこれっぽっちも感じなかったのに。

「ずっと傍におるって言うてくれたやん。」

絞り出すような声で、何かに縋るような声で目を固く閉じて開こうともしないAの冷たくなった手を

暖めるように握り締めて

「俺、やっと、好きって分かったのに。」

「お願いやから、1人にせんで。」

ゆっくりと開けた目からはボロボロと水滴が零れ落ちる。
憎たらしいなぁほんま、今更言ったところで。

ずっと、帰ってこないのに。

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初の文章がこれでいいのか…？
わかりづらかった人ごめんなさい、いつか解説あげます。多分。いつか。