落ちていく ページ5
右足を踏み込む。
血液で固められた拳が握られる。
一瞬の静寂。腹の底に落ちる熱い塊。 戦いが始まる前特有の張り詰めた空気。
先に動いたのはAだった。
目にも止まらぬ速さで拳を振るった。
そう簡単にダメージを食らわせられるわけではない。相手も反撃してくる。
それらすべてを受け止め、流し、攻撃に転じる。
体は激しく動いているのに、Aの視界は驚くほどゆっくりだった。
相手が次にどんな攻撃をしてくるのか。
どんな風にこの攻撃を防ぐのか。
それらすべてが見えた。
しかし、実力はどちらも互角だった。
どちらかが相手に強烈な一撃を食らわせない限り、この戦いは終わらない。
脹相がAの足を払おうと動いた。
それを避け、彼の意識がまだ低い位置にあるうちに、Aは近くのトイレの個室へと飛び込んだ。
くるりと鍵を回す。
脹相は困惑した。
トイレのドアなど、簡単に破ることができる。今さら隠れたところでなにになると――
ドアが湾曲した。
直後、ドアごとAの両足が脹相の顔面を貫こうとした。
だが、本当の寸前に脹相は片腕でそれを防いでいた。
初撃が防がれることは予想していた。
だからこそ、まだだ。まだ手はある。ここで必ず決める。
両足をぐるりと脹相の首に巻きつける。
そのまま下半身を捻れば、脹相の体は床に叩きつけられた。
コンマ数秒、Aが立ち上がる方が早かった。
右手で脹相の顔を狙う。反射的に、脹相は腕を顔の前に掲げた。
Aの左拳の前に脹相の胴体が晒される。
Aは初手以外、左手を使っていない。
恐らくもう左手は使えないと思い込んでいるはずだ。
(ここしかない……！！)
渾身の力を込めて放った拳は見事に胴体に直撃する。
だが、なにかがおかしかった。
(この感触)
見開くAの視界に、脹相の腹が映った。
そこは、彼の血液によって強固になっていた。
Aの拳さえ貫くことを許さなかった。
「あ」
そう思ったときにはもう遅い。
次の瞬間、Aの意識は闇へと落ちた。
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ただのバカです - くっそ良かったです。…涙止まらん。完結おめでとうございます！ (2022年10月30日 1時) (
レス) @page31 id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - K太さん» K太さん、コメントありがとうございます！年内に完結を目指していたのでそれを達成できて嬉しいです！ここまでお付き合いいただきありがとうございました！ (2022年1月1日 7時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - ↓の続き 芥見先生に言って建人は正式に承認された私の夫 (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - 建人は私の夫建人の方からプロポーズして来た建人は私が居ないと私に愛されてないと建人死んじゃう建人は私には超過保護 私はHSPで建人は恩人でもある結婚指輪も付けてる (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
K太(プロフ) - 年内最後にこの作品を完結まで見れたことが嬉しいです。更新ありがとうございます。そしてお疲れ様です。 (2021年12月31日 21時) (レス) @page31 id: a6028f1a22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2021年12月4日 21時
