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お兄ちゃんを遂行する ページ24

「パンダ先輩!」
「よかった。戻ったんだな」

パンダは宿儺に体を乗っ取られたAを見ていた。
一応の確認だったが、見慣れたAの優しい顔にほっと安心する。

「あの男、何者だ」
「側は夏油傑。中身は知らねぇよ」

ザ、と新たな足音がどこからから聞こえてきた。
全員の目がそちらに向く。

「やぁ、脹相」
「あいつは……!」

Aの全身に力がこもった。
そこには脹相がいたのだ。

だが、彼にAへの殺意はない。代わりに彼の目が向けられていたのは夏油のほうだつた。

「そういうことか」

ギリ、と歯を食いしばり、脹相は叫んだ。

「加茂憲倫!!」

加茂、憲倫!?

ぎょっとAとパンダは加茂を振り返る。
しかし当の本人はなんの心当たりもないのか、驚愕の顔をしていた。

「なに、どういうこと!?」
「加茂家の汚点……! 史上最悪の術師! 本当なら夏油の中身は百五十歳を超えてることになるわよ」

脹相は怒りをそのままに足を踏み出した。

「よくも、よくも俺に、Aを、妹を!! 殺させようとしたな!!」

そのとき、夏油のそばに一人の小柄な人影が現れた。

しゃらん、と顎で切りそろえられた髪が揺れる。

「引っ込め三下。これ以上私を待たせるな」

その人物の名は裏梅。
呪力を手に溜め、脹相を睨みつけた。

「どけ!! 俺はお兄ちゃんだぞ!!」

Aはぽかんと口を開けた。

お兄ちゃん? 脹相が??
彼の言う“妹”とは恐らくAのことだろう。しかし、なぜ? Aに兄などいない。

脹相の赤血操術が裏梅の手を貫いた。
そのまま赤血がねじられ、夏油を追尾する。体術をまじわせながら、二人は戦う。

「無理するなよ。疲れてるだろ」
「だからなんだ。それが妹の前で命を張らない理由になるか?」

なにがなんだかわからないが、とにかく今は夏油と裏梅の意識が脹相に向いている。

「一応聞くけど他人だよな?」
「他人どころか一回殺されかけてるよ」

制服を破り、簡単な止血を施す。
パンダはAの答えに声に苦笑を滲ませた。

「東堂といいヤバいフェロモンでも出てるんじゃないか?」
「だがおかげで場が乱れた。この機に乗じるぞ」
「ッス」

なんとしても獄門疆を奪い取る。

まだ二機残っているパンダが大きく片手を上げた。
各々がそれぞれに散らばった。

瞬間、Aは全身に冷えが這い上がってくるのを感じた。そして気づくと、見渡す限り一面が氷に覆われていた。

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ただのバカです - くっそ良かったです。…涙止まらん。完結おめでとうございます! (2022年10月30日 1時) (レス) @page31 id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - K太さん» K太さん、コメントありがとうございます!年内に完結を目指していたのでそれを達成できて嬉しいです!ここまでお付き合いいただきありがとうございました! (2022年1月1日 7時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - ↓の続き 芥見先生に言って建人は正式に承認された私の夫 (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - 建人は私の夫建人の方からプロポーズして来た建人は私が居ないと私に愛されてないと建人死んじゃう建人は私には超過保護 私はHSPで建人は恩人でもある結婚指輪も付けてる (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
K太(プロフ) - 年内最後にこの作品を完結まで見れたことが嬉しいです。更新ありがとうございます。そしてお疲れ様です。 (2021年12月31日 21時) (レス) @page31 id: a6028f1a22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年12月4日 21時

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