弱肉強食 ページ21
その威力は凄まじく、真人はいとも簡単に吹き飛んだ。
体を覆っていたものがすべて剥がれ落ち、地面に這いつくばったまま息を荒らげていた。
それを追いかけ、Aは歩いた。
「ハーッ、ハーッ、ハー……まだ、まだだ」
立ち上がろうと真人はもがく。
しかし、思うように体は動かず、口からは反吐しか出なかった。
改造人間のストックももうない。
「認めるよ、真人」
柔らかな声が降りかかった。
「あたしはお前だ」
顔を上げた真人の前に、Aが立っていた。
その目には嫌になるほど透明な色が広がっている。なにもかもを見通して、なぜか安らかだった。
「あたしはお前を否定したかったの。お前の言ったことなんて、知らないって」
でも、今は違う。
「ただお前を殺す」
長いまつ毛が上下した。
「また新しい呪いとして生まれたらそいつも殺す。名前を変えても、姿を変えても、何度でも殺す」
安堵の微笑みがAの口元に浮かんだ。
ある絵画のようだと見当違いのことを真人は思う。
「もう、意味も理由もいらないよね」
真人は息を詰めた。
「この行いに意味が生まれるのはあたしが死んで何百年も経った後なのかもしれない。きっとあたしは……大きな、なにかの歯車の一つに過ぎないんだと思う」
だからこそ、その歯車が錆びつき動かなくなる瞬間まで呪いを殺し続ける。
それが、それこそが
「この戦いのあたしの役割なの」
顔から微笑みが消えた。
雪山を転がり逃げる兎。それを喰らわんと走る狼。
真人は生まれて初めて、恐怖を感じた。
そして、逃げて逃げて、逃げた先には――
「助けてあげようか。真人」
もう一頭の狼が待ち構えていた。
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ただのバカです - くっそ良かったです。…涙止まらん。完結おめでとうございます! (2022年10月30日 1時) (レス) @page31 id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - K太さん» K太さん、コメントありがとうございます!年内に完結を目指していたのでそれを達成できて嬉しいです!ここまでお付き合いいただきありがとうございました! (2022年1月1日 7時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - ↓の続き 芥見先生に言って建人は正式に承認された私の夫 (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - 建人は私の夫建人の方からプロポーズして来た建人は私が居ないと私に愛されてないと建人死んじゃう建人は私には超過保護 私はHSPで建人は恩人でもある結婚指輪も付けてる (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
K太(プロフ) - 年内最後にこの作品を完結まで見れたことが嬉しいです。更新ありがとうございます。そしてお疲れ様です。 (2021年12月31日 21時) (レス) @page31 id: a6028f1a22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2021年12月4日 21時