心が削られていく ページ11
23：19 渋谷駅 道玄坂改札
Aと真人は激しい攻防戦を繰り広げていた。
どちらも互いに一歩も引かず、勝負は拮抗する。
余裕そうに笑う真人を睨み、Aは心の中で舌打ちをこぼした。
時間差変形、自切・切合……。真人の手数が以前戦ったときよりも増えている。
向こうもやはり成長しているのだ。
改札を挟んで睨み合う。
ふっ、と真人が動いた。慌てて追うが、そこにいたのは二人の男だった。
「学生！？」
「おいコッチ来いよ！ そっち化け物だらけで危ねぇぞ！」
Aは目を細めた。
男たちの後ろに階段がある。真人はあれを登ったのか。
「ごめん、今渋谷に安全なところはないから、できるだけ――」
遠くへ
その言葉が放たれる前に、Aは頬を殴られ真横に吹き飛んだ。
受身を取り、立ち上がる。
男のうちの一人の口から真人の腕が伸びていた。
服だけとなった男の中から真人が出てきた。
「ちょっとさぁ」
「え」
真人の左手がもう一人の男に触れられる。
「想像力足りてないんじゃない？」
「やめろ！！」
咄嗟に、Aは叫んだ。
が、男の体はまるで粘土のように変形し、真人の手の中に剣として収まった。
「馬鹿か？ それはオマエ次第だろ」
真人は理解していた。
Aの
読み通り、今のAの目の中には怒りのほかに、後悔、悲しみの色が渦巻いている。
真人はこらえきれず、笑った。
二人の戦いはまだ続く。
Aの心を一刻も早く削るために、真人は逃げ惑う人々を殺していった。
その度に、Aは息ができなくなった。
罪なき人々が死んでいくのを見るのは、なによりも辛かった。
「大丈夫ですか！？」
真人の攻撃によって吹き飛んできた人を受け止め、声をかける。
「うぅ……」
呻きながら、彼は振り返った。
「うん！！」
醜く膨らんだ顔。目はない。
しまった、と思ったときはもう遅い。
その人は破裂した。
目に血がかかった。視界が塞がれる。
Aを殺そうと、真人は片手を振り上げた。
瞬間、真人の胸をいくつもの棘が貫いた。
ごぽ、と口から血が溢れる。
Aはその棘を見たことがあった。
「……野薔薇！？」
野薔薇の術式、共鳴りだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1061人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ただのバカです - くっそ良かったです。…涙止まらん。完結おめでとうございます！ (2022年10月30日 1時) (
レス) @page31 id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - K太さん» K太さん、コメントありがとうございます！年内に完結を目指していたのでそれを達成できて嬉しいです！ここまでお付き合いいただきありがとうございました！ (2022年1月1日 7時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - ↓の続き 芥見先生に言って建人は正式に承認された私の夫 (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - 建人は私の夫建人の方からプロポーズして来た建人は私が居ないと私に愛されてないと建人死んじゃう建人は私には超過保護 私はHSPで建人は恩人でもある結婚指輪も付けてる (2022年1月1日 7時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
K太(プロフ) - 年内最後にこの作品を完結まで見れたことが嬉しいです。更新ありがとうございます。そしてお疲れ様です。 (2021年12月31日 21時) (レス) @page31 id: a6028f1a22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊 | 作成日時：2021年12月4日 21時
