十五歳 ページ16
わたしら恐る恐る顔を上げた。
弔はベッドの奥のほうに詰めて、隣をぽんぽんと叩いている。
「いいの？」
「うん」
ほっと表情を緩めてベッドに駆けた。
にこにこと笑いながらベッドに潜り込む。布団を元に戻して、わたしと弔はぬくぬくとベッドの中で丸まった。
あったかないなぁ。幸せだなぁ。
「ありがと、弔」
「……べつに」
弔はしばらくベッドの隣の引き出しを漁っていたか、やがてハンカチを二枚取り出した。
首をかしげるわたしの前で、そのハンカチを左右の手の人差し指に巻きつける。
そしてそれをどこか得意げにわたしに見せた。
「これで崩壊させない」
ちょっと口角をあげる弔に、にっこりと笑い返した。
一人用のベッドは二人入ると少し狭い。
けれど、その狭さと弔のちょっと低い体温が、夢の名残りを忘れさせてくれた。
無機質な目覚ましの音にわたしは目を覚ました。
布団の中から手を出し、うるさくわめく音を止める。
春が近づいてきたとはいえ、まだ空気は冷えている。
寒さをこらえ、わたしはベッドから抜け出した。
床に投げ捨てられている服を手に取り、然るべきところに身につけていく。最後にくしゃくしゃに丸まっている紫のパーカーを手に取った。
軽くシワをのばして羽織った。
部屋に設置されている全身鏡で姿を確認し、ベッドを見た。
ベッドはこんもりと盛り上がっており、寒そうに身動きしている。
わたしはふぅ、と息を吐くと布団を勢いよくめくった。
「弔！ 朝だよ！！ 朝ごはんわたしが全部食べちゃうよ！」
ベッドで丸くなっていた弔は「……ん」と不機嫌そうな声を出すだけだ。
「弔ぁああ！！」
「……うるさ」
とうっ！！ と弔に向かってダイブしてやると、見事に彼の上に乗っかった。
鈍い声を出して、弔はようやく目覚めたらしい。
「お、もい……」
「重くないですしぃ〜？？」
失礼な！ とぷりぷり怒りながらわたしは部屋の外へ出る。
レディに重いと言うなんて！！
「早く起きてね！」
歳を重ねるごとに母親じみていくAを見送りながら、弔はゆっくりと立ち上がった。
今年で彼らは十五歳となった。
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眠 - 最近ずっとヒーロー側の作品しか読んでなかったからたまには敵連合側もいいかな〜って思って初めて主人公が初めから敵連合側の作品読んだけど面白い。まだ全然読んでないけど初めから最後まで敵連合側でも悪くない！これから一気に読み進めるぞー！ (2021年10月1日 19時) (
レス) @page2 id: cfd8dfa5f7 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 九音さん» 九音さん、コメントありがとうございます！敵連合のメンバーもこれから出てくるのでどうぞお楽しみに！ (2021年3月23日 13時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
九音(プロフ) - 敵連合と弔くんが好きで拝読させていただいてます！これからも更新楽しみにしています！ (2021年3月23日 1時) (レス) id: f3a2c0cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2021年3月21日 18時
