Thank you so much ページ24
――いる、と言ったら？
その問いが戦いのゴングとなった。
呪力のこもったAの拳が川底の石を叩く。
水しぶきの中に大きな石が二つ舞い上がった。
――軽率に距離を詰めない
凄まじいスピードで襲いかかってくる石を交わした呪霊は、感心しながら右手の指先にある木の塊をAの腹に叩きつけ
――そこは評価します
ようとした。
しかしそれはAの蹴りによって砕かれ、その流れのまま呪霊の顔面に蹴りが入った。
(胴体がら空き！ 手加減した打撃で油断しまくってる今ならいける！！)
水面沿いに拳を滑らせる。
――黒閃
よぎる。
ボロボロになった恵の姿が。真希の姿が。
よぎる。
あの日あのとき失った友人の顔が。
変形した友人の顔が。
それらがまぶたの裏側で閃き、Aの研ぎ澄まされた集中に怒りが混じった。
振るった拳はわずかにブレ、呪霊はそれを簡単に避けてしまった。
「クソッ！！」
呪霊が繰り出してくる攻撃を避けるために後ろへ跳ね、Aは呪霊と距離を置く。
チリチリと胸の表面を怒りが焦がしていた。
「マイハニー」
Aの怒りを沈めるように落ち着いた東堂の声が聞こえた。
瞬間、パァンッ！ と破裂音が響き、続いて頬に鋭い痛みを感じた。東堂に平手打ちをされたのだ。
「怒りは術師にとって重要な起爆剤、トリガーだ。相手を怒らせてしまったばかりに格下に遅れを取ることもある」
淡々とした声音にAはいつの間にか強ばっていた全身の力が緩んだ。
「逆もまた然り。怒りで呪力を乱し、実力を発揮できず負けることもな」
東堂は目を瞑り、ふるふると首を横に振った。
「伏黒を傷つけられ、そしてなにより俺との蜜月に水を差され、お前が怒髪衝天に陥ってしまうのはよぉーくわかる」
今のAには東堂の言葉が違和感なく受け入れられる。すっと静かに心の奥に染み込んでいくようだった。
「だがその怒りはお前には余る。今は収めろ」
もう一度東堂の手がAの頬を打った。
「消えたか？ 雑念は」
目が覚めたようだった。
「あぁ。雲ひとつない」
まるで晴れ渡った空を眺めているような気分だ。
Aは口角をあげ、再び拳を握りしめた。
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柊(プロフ) - あーさーさん» あーさーさん、コメントありがとうございます！虎杖ちゃんかわいいですよね！そう言っていただけて嬉しいです！オチはナナミンで決定しています。今のところ伏黒くんルートは考えておりません……。申し訳ないです汗 更新がんばります！ (2021年6月5日 7時) (
レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - コメント失礼します！虎杖ちゃんが可愛すぎませんか？？もうこれは推すしかないなぁと思いました！落ちはナナミンで決定ですか？もしよければ恵ルートを書いて頂けないでしょうか．．．あくまでも一意見なので無視してもらっても全然大丈夫です！更新楽しみにしてます！ (2021年6月5日 0時) (レス) id: 300c895943 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - すぴさん» すぴさん、コメントありがとうございます！一気読みもありがとうございます！うれしいです！東堂くんとの会話は書いてて私も楽しいです！この先もハチャメチャになる、かも……！これからもよろしくお願いします！ (2021年4月30日 13時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
すぴ(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！東堂くんとの会話めちゃくちゃ面白くて好きです！更新楽しみにしてます^ ^ (2021年4月30日 9時) (レス) id: 4a1a097f66 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 餅さん» 餅さんコメントありがとうございます！一気読み……ありがとうございます！虎杖ちゃんかわいいですよね！東堂くんとの絡み、かなりハチャメチャになりそうです笑 応援ありがとうございます！ (2021年4月18日 19時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2021年3月7日 0時
