呪いの王を宿した少女ｰ２ｰ〈呪術廻戦／成り代わり〉 (ページ35)

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無量空処ページ35

瞬く間に辺りがぐつぐつと沸くマグマだらけの世界に豹変してしまった。
跳ねるマグマに「アッツ！！」とAは叫ぶ。

領域展開。
術式を付与した生得領域を呪力で周囲に構築する。

「君たちが少年院で体験したのは術式の付与されていない未完成の領域だ。ちゃんとした領域なら一年みんな死んでたね」

領域を広げることはかなりの呪力を消費するが、それなりの利点もある。

「一つは環境要因によるステータス上昇。ゲームのバフみたいなもんだね。それともう一つ」

五条の眼前に巨大な岩が出現した。
しかしそれは五条の突き出した拳により粉砕される。

パラパラと落ちてくる屑の中、五条は何事もなかったかのように説明を続けた。

「領域内で発動した、付与された術式は絶対当たる」
「絶対！？」
「ずぇ～ったい！」

それじゃあ勝てないんじゃ、と眉を下げるAに五条はにっこり微笑んだ。

対処法はいくつかあるのだ。
たとえば、今のように呪術で受ける。
または領域外に逃げる。

二つ目は大抵は無理だ。

しかしあと一つ。
最も有効な手段が残っていた。

「それはこっちも領域を展開すること。同時に領域が展開されたとき、より洗練された術がその場を制するんだ」

五条は目隠しに指をかけた。

「灰すら残さんぞ、五条悟！！！」

さらり、と五条の白髪が揺れた。
外された目隠しは首にかかる。

その横顔を見上げた瞬間、Aは息を飲んだ。

「領域展開」

長い睫毛がすっと開かれた。
宝石箱を開けたような、美しい瞳が二つ姿を見せる。
海よりも、空よりも清い青。

「無量空処」

五条の背後から淡い青が伸びた。