呪いの王を宿した少女ｰ２ｰ〈呪術廻戦／成り代わり〉 (ページ34)

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蓋棺鉄囲山ページ34

「頭富士山！！！！」

池に飛んだ先にいたのは頭が山の呪霊。
人型で一つ目だ。
名を漏瑚という。

「見学の虎杖Aちゃんです！」

Aの叫びは無視して、五条は漏瑚に見せびらかすようにAを見せつける。
未だにAの頭は疑問でいっぱいだ。

「先生、あたし十秒くらい前まで高専にいたよね。どーなってんの？」
「んー、トんだの」
(……説明する気ないな)

だんだん五条に慣れてきたAは早々に説明を求めるのを諦めた。

一方漏瑚は突然現れた両面宿儺の器――虎杖Aを鋭い目で見つめる。
彼の目的は五条悟を戦闘不能にすること。そして両面宿儺、虎杖Aを仲間に引き込むことだった。
そのため無闇にAを殺すことは避けたい。

「なんだそのガキは。盾か？」
「盾？違う違う。言ったでしょ、見学って」

ひらひらと手を振って五条は漏瑚の言葉を否定する。

「今この子に色々教えてる途中でね。ま、君は気にせず戦ってよ」
(……なんであたしたち沈まないんだろ)

力を込めても沈まないつま先にAはさらに疑問を深める。

「自ら足でまといを連れてくるとは。愚かだな」

嘲るような口調の漏瑚に五条は人の神経を逆撫でする笑いをこぼした。

「大丈夫でしょ。だって君、弱いもん」

頭、両耳、それらの噴火口から炎が噴き出した。

「舐めるなよ小童が！！！そのニヤケ面ごと飲み込んでくれるわ！！！」

漏瑚の怒鳴り声がビリビリとAの全身を押し潰す。
感じたことのないほどの圧にAは目を見開いたまま息を忘れた。

この呪霊が弱い。

Aの脳内はそれを否定する。
なぜなら彼女が今まで見てきたどんな呪いよりも、はるかにバケモノだからだ。

「大丈夫」

優しい、大きな手が頭に乗った。

じんわりと伝わる体温にAの緊張が少し緩む。
止めていた息を大きく吐いた。

「僕から離れないでね」
「う、うん」
「領域、展開！！」

漏瑚の怒気を含んだ声が空気を揺らした。

「蓋棺鉄囲山」

漏瑚の背後から深い赤が姿を現した。