呪いの王を宿した少女ｰ２ｰ〈呪術廻戦／成り代わり〉 (ページ28)

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これからのことページ28

「んで、先生。あたしのこれからのことって？」

五条について行くと、なぜか階段をおりていた。
どんどん薄暗くなっていく光。

「修行だよ、修行」
「……修行？？」

しばらく使われていなさそうな重たい鉄のドアを押すと、そこには意外にも快適そうな空間が広がっていた。

簡易キッチン。風呂、トイレ。
奥にはデカいテレビと真っ赤なソファー。

どこかのホテルの一室か、と聞きたいくらいには物が揃っていた。
まさか高専の地下にこんなものがあったとは。

「そう修行。Aにはこれから強くなってもらわないといけない。交流会にも参加できるようにね」
「交流会？」
「まっ、その話はあと！近接戦闘に関してはAは頭一つ抜けてると思うんだ」

テーブルの上に五条は空き缶を二つ乗せた。
乗せながら、イマイチ事態を把握できていないAに話を続ける。

「今覚えるべきは、呪力の制御。そして呪術に関する最低限の知識、だね」
「じゃ、じゃあそれを五条先生から学べるってこと？」
「YES！！君が生きてるって知ってるの、今のところ僕と硝子と伊地知だけだから」

五条は途端に嬉しそうにニヨニヨするAに首を傾げた。

「やっぱ修行つけてもらうなら五条先生がいいって思ってたからめっちゃ嬉しい！」

屈託のない笑顔に五条は思わず思考を止める。
こんなにどストレートに好意を向けられたのは久しぶりで、なんだか少しこそばゆい。

Aは緩んだ頬を引き締め、右手を握りしめた。

「……少年院で、私は弱くてだれも助けられなかった。それどころか恵を殺しかけた。今のままじゃ、あいつらに顔向けできない。だから」

もう嘆きたくはない。
己の弱さを。
己の不甲斐なさを。

右も左もわからぬ赤子のままは、もう嫌だ。

「教えてよ。最強を」

その目に、一点の曇りもない。