蝗害 ページ31
蹴りの勢いを殺さぬまま、Aは一回転すると、拳でソレの脇腹を抉った。
「……お前らはどいつもこいつも」
ジンジンと痛む拳を握りしめ、Aは怒りと共に声を吐き出した。
「人間舐めるのも大概にしろよ」
「さてはオッ、オマエ、賢くないナ？？」
壁にめり込んでいたソレは首を鳴らしながら言った。
ギョロギョロと目を動かして、ソレはAを指さす。
「俺がなんの呪いカわかってないダロ。知っテルカ？ コノ世界は賢くないヤツから死ヌんだ」
なぜか勝ち誇ったように言うソレにAは一瞬ポカンと口を開けた。
なんの呪いかと聞かれればあれしかないだろう。
逆にわからない人間などいないはずだ。
「……バッタの呪いじゃないの？」
“蝗害“
バッタの大発生に伴う大規模な災害のこと。
農作物だけでなく、紙や着物、小屋、植物性のものはすべて食い尽くされる。
総量一トンのバッタの群れは一日で二千五百人に食料を消費することになる。
異様な咀嚼音は昼夜問わず響き渡り、群れの去った後の荒れ果てた土地とそれを覆うバッタが分泌した黒い粘液は平穏とは程遠い光景を描く。
人々はその悪魔のような昆虫を恐れ、憎み、呪った。
そして生まれたのが、バッタの呪霊だ。
呪霊は手足のバネと顎を使い、Aの襲いかかってきた。
咄嗟にAは後ろへ飛んでそれをかわす。
呪霊の顎に噛み砕かれた電子看板がパラパラと音を立てて崩れた。
あの顎に掴まれたら一瞬でぐちゃぐちゃだ。
ソレはAの真横まで飛んでくると、拳を突き出した。
その腕をのけぞることで避け、側転の要領で呪霊から距離をとった。
(噛みつき、タイミング自在の四本腕。躊躇なく距離を詰めてくる……)
「オマエ、ドッチだ？」
「なにが？」
ジリジリと睨み合いを続けながら、Aは呪霊の動きを見つめる。
(たぶん、小細工はない)
「賢いノカ、賢くないノカ。俺は、賢い」
小細工がないならば、実力勝負だ。
Aは呪霊との間合いを詰めるため、足を踏み出した。
「言っとくけど、本当に賢い奴はあんまり自分のことを賢いって言わないよ」
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RENKA - ついに五条先生が封印されちまった…夢主ちゃん達頑張れ！ (2021年10月31日 0時) (
レス) @page33 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - さーまさん» さーまさん、コメントありがとうございます！呪いの王は渋谷事変で完結を予定しています！それまで更新が不定期になりますが、どうぞよろしくお願いします！夢主ちゃん！がんばれー！！ (2021年10月6日 17時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
さーま(プロフ) - ああついに渋谷事変突入...夢主ちゃん(泣) メンタル持つか心配ですが更新楽しみにしております！！ (2021年10月6日 15時) (レス) @page27 id: b41a80569b (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - RENKAさん» RENKAさん、コメントありがとうございます！ようやく続編に行けました……！これからも不定期ですが更新していくのでどうぞよろしくお願いします！ (2021年8月21日 11時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 続編おめでとうございます！いつも楽しく見させて頂いております、自分のペースで無理せず頑張って下さい応援してます♪ (2021年8月20日 12時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2021年8月15日 0時
