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狂気の執着 ページ18

「粘膜、傷口、私たちどちらかの血を取り込み、私たち兄弟どちらかが術式を発動すれば侵入箇所から腐蝕が始まります」

模様の現れたところがずくずくと痛む。鼓動に合わせて痛みが襲ってくる。

術式ならば解除させれば大丈夫。
まだ道は残っている。

「長髪のお嬢さんはもって十五分、もう一人のお嬢さんは十分が限界でしょう。朝には骨しか残りませんよ」

十分。
最低でも十分以内には彼らを倒さなくてはならないのか。

「さて、どうします?」

余裕そうに男は微笑んだ。

「辛いようでしたら今すぐ殺して差し上げましょうか」

Aは野薔薇を見た。
この勝負、勝ち目がある。

Aと同じことを考えているのか、野薔薇は爛々と目を輝かせ笑っていた。

芻霊呪法、共鳴り。
対象から欠損した一部に人形(ヒトガタ)を通して呪力を打ち込むことで対象本体にダメージを与える術式。
術式範囲の制限は緩く、対象との実力差、欠損部位の希少価値によって効果が変わる。
血液は芻霊呪法において決して価値は高くない。だが共鳴りは対象との繋がりを辿る。

今、野薔薇の中にある壊相、血塗の血液は蝕爛腐術の術式で二人と強く繋がっている。

「当たれば勝ちの術式、強いなお前ら」

男の顔が曇る。

「でも残念。私との相性最悪だよ!!」

野薔薇は笑ったまま、釘を薔薇の描かれた腕へ突き刺した。

「我慢比べ、しよっか♡」

どくんっ、と体の中心に痛みが走る。
男──壊相は歯を食いしばった。だが、心のどこかではまだ余裕があった。

共鳴りさえ我慢していれば死ぬのは野薔薇が先。
一方でAは毒と痛みで動けるはずがない。

このまま耐えてさえいれば──

「なぜそこまで動ける」

血塗の背後に、Aがいた。
構えた拳には呪力がこもっている。











狂った執着が体の内側を突き刺す。



純真無垢の殺意が血塗の体を貫いた。

迫る毒→←薔薇の紋章



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RENKA - ついに五条先生が封印されちまった…夢主ちゃん達頑張れ! (2021年10月31日 0時) (レス) @page33 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - さーまさん» さーまさん、コメントありがとうございます!呪いの王は渋谷事変で完結を予定しています!それまで更新が不定期になりますが、どうぞよろしくお願いします!夢主ちゃん!がんばれー!! (2021年10月6日 17時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
さーま(プロフ) - ああついに渋谷事変突入...夢主ちゃん(泣) メンタル持つか心配ですが更新楽しみにしております!! (2021年10月6日 15時) (レス) @page27 id: b41a80569b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - RENKAさん» RENKAさん、コメントありがとうございます!ようやく続編に行けました……!これからも不定期ですが更新していくのでどうぞよろしくお願いします! (2021年8月21日 11時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 続編おめでとうございます!いつも楽しく見させて頂いております、自分のペースで無理せず頑張って下さい応援してます♪ (2021年8月20日 12時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年8月15日 0時

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