飛べない鳥は空を描くｰ３ｰ〈ヒロアカ〉 (ページ9)

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タバコページ9

差し出されたタバコを受け取り、わたしは見よう見まねでくわえてみる。

だがこれをどうやって吸うのかはよくわかっていない。先生も黒さんも弔もタバコは吸ってないから。

「火ぃつけるぞ。タバコをストローみたいに吸ってみろ」

くわえたままオロオロしていると、トゥワイスさんがライターに火をつけてタバコの先端に近づける。
言われるがまま、ジュースを吸うみたいにタバコを吸った。

「……！！」

上手く点火したようだ。
柔らかなオレンジ色が視界の端でゆらゆらと揺れている。

トゥワイスさんも自分のタバコに火をつけた。

「そのまま、何回かにわけて煙を口に含むんだ。そして肺まで落とす。……勢いよく吸うと――」
「ゲホッ、ゴホッゴホッ」

なにも考えずに煙を一気に吸い込んでしまった。途端にむせる。まだ熱い煙が喉を滑り、肺をジリジリと炙る。

その感覚に思わず顔をしかめると、トゥワイスさんはおかしそうに笑った。

「初めてタバコを吸った感想は？」
「な、なんかケホッ、変な味、ゴホッ、です、ん゛っ」

何度か咳き込むと少し楽になった。
今度は慎重に、ゆっくり吸ってみよう。

隣でトゥワイスさんは手馴れたようにタバコをふかしている。この美味しさはわたしには理解できないなぁ。

「何度も吸ってたら美味く感じるようになるぜ。不味い！！」

床に落ちていた灰皿にタバコを押しつけたトゥワイスさんが突然叫んだ。
びっくりして指先のタバコが下へ落ちていく。