飛べない鳥は空を描くｰ３ｰ〈ヒロアカ〉 (ページ11)

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荼毘さんページ11

手元の箱を見下ろしながら、わたしはぶらぶらと家への道を歩いていた。

トゥワイスさんの家を出て、そのまま真っ直ぐ帰ろうかと考えたが、どうしてもタバコの味が忘れられなかった。
気づけばコンビニに立ち寄っていて、タバコとライターを買っていた。

トゥワイスさんがどんなものを吸っていたかは覚えていなかったから、適当に選んだ。

教えてもらったようにタバコをくわえ、カチカチとライターを押す。

上手くついた。さぁ、このあとが難関だ。
ゆっくり、慎重に、煙を口にためてから息を吸う。

ちょうどいい温度になった煙が肺に落ち、満たす。
少し違和感はあったけど、なるほど。これがタバコの味。

大人の階段を一歩登った気分！

タバコの煙をまとって、軽い足取りでわたしは家へ向かった。

「たっだいまー！」

元気よくバン！とバーのドアを開けると、そこにはすでに先客がいた。

「あ！！ Aちゃん！」
「ヒミコちゃん！」
「……だれだお前」
「おかえりなさい、小鳥遊A」

ドアの開いた音に振り返った2人のうちの1人――ヒミコちゃんが駆け寄ってくる。
再会を祝して、ハグをしながらくるくるっと回った。

「なんだかAちゃんからタバコの匂いがします」

すんすん、と鼻を鳴らしながらヒミコちゃんが言う。

「あ、バレた？実はタバコデビューしてみたんだ〜！」
「そうなんですか！うふふ、Aちゃんカッコイイです！」
「ありがと〜！」
「だからだれなんだ、お前」

呆れたようにかかった2度目の声に、わたしはヒミコちゃんの肩越しに声の主を見た。

「……ど、どなた？」
「それはこっちのセリフだ、イカレ女2号」
「1号はだれ？」
「私です！」
「ヒミコちゃんはイカレ女なんかじゃないよ！天使のごときかわいさを持って生まれた最強かわいい女子高生だよ！！」
「キャー！かわいいを2回も言ってくれるなんて、私照れちゃいます！」
「………………」
「で、結局あなただれ？？」

火傷だらけの男に首を傾げると、彼は無言で近づいてきて、わたしの頭を思い切り殴った。

「どぅぉおお……！！」

あまりの痛みに悶絶する。
そんなわたしにハッ、と鼻で笑った男は名乗らずバーから出て行った。

「あの人は荼毘くん！私と同じステ様に憧れた人です！」

結局、ヒミコちゃんが教えてくれた。