桜色の髪の少女 ページ4
それは建設会社の吉田さんが行方不明になったという記事だった。その吉田さんの最後の目撃場所が建設途中の杉沢第三高校なのだ!
「当時吉田さんは各所から借金をしており、その筋の人からも狙われていたつまり!!」
一歩足を踏み出した佐々木の横でAと井口はふふん、と胸を張った。
「ラクビー場には吉田さんの死体が埋まっていて、一連の騒ぎは彼の怨霊によるものだったのです!!」
(推測)だが。
△▽△▽
(……なんだこのラグビー場)
伏黒はじっとラグビー場のゴールポストを見上げていた。そこには言葉にするのもおぞましい化け物が奇妙な鳴き声を上げていた。
「死体でも埋まってんのか?」
その化け物、呪霊は強さの値で言えば二級に相当する。こんなところにうろつくものではない。
もしかすると、伏黒が今探している呪物の影響かもしれない。
呪物の気配が大きすぎて、すぐ隣にあるようで遥か遠くにあるようにも錯覚してしまう。
(呪いを祓ったあと、隅々まで探すしか……)
面倒だ。と伏黒はため息をついた。
やはり帰ったらこの仕事を押しつけてきたあいつを殴ろう。
「こっちだこっち!」
「陸部の高木と西中の虎杖が勝負すんだよ!」
「種目は!?」
「砲丸投げ!!」
ふらり、と伏黒の足が騒ぎへと向く。なんてことはない。ただの気分転換だった。
鈍い音を立てて砲丸が地面に落ちる。
ざわめく人の声を聞いていればなにがあったのかを理解できた。
虎杖とかいう奴の部活勧誘を巡って陸上部の顧問とその虎杖が砲丸投げで決着をつけるらしい。
「十三メートル!」
ゴリゴリのマッチョの顧問は叩き出した記録に満足そうに頷いていた。一方の対戦相手の虎杖とかいうのは驚いたことに女だった。
ひょろひょろで、背が低い。
長い桜色の髪を結い上げ、飴色の瞳にはきらきらと穢れのない光がある。
その姿を見て、伏黒は柄にもなく目を奪われた。
綺麗だ、と思ってしまった。
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森 - なんだこれぇ…おもろいやん…惚れてまう… (2022年2月1日 23時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - テイルさん» テイルさん、コメントありがとうございます!ご指摘の通り、悠仁の漢字を間違えていました汗 急いで訂正致しました。おもしろいと言っていただき嬉しいです!これからも更新頑張ります! (2020年11月30日 0時) (レス) id: 4990928c1f (このIDを非表示/違反報告)
テイル - 面白いです!!私はこう言うの読みたかった!! 頑張って下さい!! ところでどうでもいいんですけど ユウジって悠仁じゃありませんか? 悠二じゃないような…? (2020年11月30日 0時) (レス) id: 76f38bdf79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年11月28日 19時