賑やかな体 ページ25
Aはこれから東京へ行く。東京で呪術師の高校に入り、そこで呪術を学ぶのだ。
車待たせとくからゆっくり準備しておいで。
そう五条に言われたものの、待たせているのなら急がなくてはならない。
我儘を言って、東京に行く前に祖父の墓参りにも行くことを許してくれたのだから。
てきぱきと、カバンに必要なものを詰めていく。
と言っても、元々物をあまり持たないAの荷物はすぐにまとまった。
数日分の着替え。財布、携帯、祖父の写真を一枚。それと、お気に入りの漫画を一冊。
冷蔵庫の中のものはすべて片づけ、ゴミも捨てた。
すっからかんとした部屋を見渡して、Aは知らず知らずのうちに、息を吐いていた。
とても寂しい光景だった。
「ずいぶんとボロい家だな」
突然左頬から声がしてAはビクッと肩を揺らした。左を見てもそこにはなにもいない。
それもそのはず。
「阿呆が。どこを見ている」
声の主は両面宿儺。彼はAの左頬から口を開き、喋っているのだ。
「……そんな器用なことできんの？」
今まで頭の中で喋っていただけの声が耳から聞こえてくるのはなんだか変な感じだ。
鏡を覗くと、鋭い歯が並んだ口が左頬についていた。
「うわ、キモッ」
「黙れ」
思わずAが本音を零すと、口が不愉快そうに歪んだ。
「で、急になに？ 食べ物とかはないけど」
「チッ、つまらん奴だな」
「はぁ？ なんであんたにそんなこと言われないといけないんだよ……」
「…………」
声がしなくなった。
もう一度鏡を確認すれば、そこに口はなく、ただAの頬が映っていた。
「……ほんとになんだったの……」
ずいぶんと賑やかな体になってしまったらしい。
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森 - なんだこれぇ…おもろいやん…惚れてまう… (2022年2月1日 23時) (
レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - テイルさん» テイルさん、コメントありがとうございます！ご指摘の通り、悠仁の漢字を間違えていました汗 急いで訂正致しました。おもしろいと言っていただき嬉しいです！これからも更新頑張ります！ (2020年11月30日 0時) (レス) id: 4990928c1f (このIDを非表示/違反報告)
テイル - 面白いです!!私はこう言うの読みたかった!! 頑張って下さい!! ところでどうでもいいんですけど ユウジって悠仁じゃありませんか? 悠二じゃないような…? (2020年11月30日 0時) (レス) id: 76f38bdf79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2020年11月28日 19時
