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「 わしの一件で主人に
それが露見しちまって辞めさせられちまったのさ
本当に悪い事しちまった今更謝っても詮無き事だが
死ぬ前にせめてあの簪だけでも返したくてのぉ。
いやあ、本当の事を言うと
またあの笑顔をみたいだけでなんだけどなぁ… 」
こんな話聞いちゃったら銀時は動いちゃうよ
年の功って本当狡いなぁ
言う事は真実にしか聞こえないし
一言一言に重みがある
病室を出て 大人しく待っていた二人に話しかける
「 行くぞー 」
「 帰るんですか？ 」
『 簪の持ち主を探しに行くの 』
「 つってもこんな何処にもある簪の持ち主を
どう探すのか分かりやしねえがな 」
「 いいアイディアがあるネ 」
銀時から簪を奪い取る神楽ちゃん
そして定春君の鼻元へ 持って行き嗅がせた
『 そうだね、
こういう時は野生に任せるのが良いね 』
「 いや流石に無理でしょ… 」
「 五十年も経ってるんだ
匂いなんて残ってる訳無いって 」
「 分かんないアルヨ あやのさん
もしかして体臭きつかったかもしれないアル 」
「 体臭って……青少年の甘酸っぱい夢を
サラッと打ち砕くなこの酢昆布娘！ 」
「 いやいや安心し給え新八君。
別嬪さんってのは
理屈抜きでいい匂いがするもんですよ
その証拠に同じシャンプー使ってるのに
このスッキリしたいい匂いする奴が居る 」
今日は仕事だった上にお風呂入らず
お店から病院直行したから臭い筈なんだけどな
自分では女の人の香水の匂いやら
なんやらすると思うんだけど
『 銀時近い、近い 』
「 本当だ。
なんかいい匂いしますね
安心出来るようなそんな感じの 」
「 のにも関わらず銀ちゃんはどうして
そんなに臭いアルカ、根が腐った臭いがするネ 」
「 銀さんはいちご牛乳の匂いなんですー！
こんないい匂いも分からないなんて
神楽ちゃんはまだまだ餓鬼でちゅねぇ 」
「 チッ
いちご牛乳で臭くなる位なら餓鬼でいいネ 」
お、安い挑発に神楽ちゃんが乗らなくなってる
これは心の成長、余裕でもあるからいい事だよね！
撫でてあげよう
「 へへっ 」
「 っておい！ お前家に戻ってきてるじゃねーか
散歩気分か？ バカヤロー 」
お登勢さんのお店の戸を必死に引っ掻く
定春君は賢いから違う所には行かない筈だし
分からなかったら分からないって示す筈
これは真剣に此処だと言ってるのかな？
「 おい、まさか… 」「 まさかねぇ… 」
『 ……お登勢さん、ちょっといいですかー！ 』
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作者名：こなた | 作成日時：2017年6月20日 10時
