二場 ページ2
『ねえ暇だよ!なんで誰もいないの!』
「私がいますよ王子様」
『わあメル!君はなんて存在が薄いんだい?』
広く天井は高い
壁には立派なステンドグラス
赤い絨毯が彼の前で伸びている
「まあ王子様!私はさっきから横にいましたよ」
『爆笑』
そう言って彼は充分すぎる大きさの玉座に胡座をかいて座った
「お行儀の悪い」
『君と僕しかいないじゃないか!』
「まったく…いつまで座っているおつもり?」
『僕が動く必要がどこに?』
いつもの会話
いつもの返答
だけど、今日は少し違った
「では王子様、外に散歩に行ってみませんか?」
そう言ってメイドのメルは王子様を引っ張る
いやいや立ち上がり、長い螺旋階段を降りる
『どうして門を開ける人間がいないの?』
「私が開けるからですよ」
そう言って彼女は長い髪を揺らしながら両開きのうち、片方だけ門を開けた
そこにはいつもどおり庭園が広がっている
「王子様、いってらっしゃいませ」
そう言って彼女は少し強めにAの背中を押した
Aはよろけながら門の仕切りを渡る
後ろにいるメイドの顔を視界の端で捉えた
彼女は、笑っていた
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作者名:カナリア | 作成日時:2018年10月24日 7時