追憶のレヴェナント wtnb ページ42
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死んだ人間に、もう一度会いたいと願っても、会わせてくれる都合のいい話なんてあるわけない。
なにを当たり前のことを言ってんだって話だけど。
もし、その当たり前ってやつが、突如覆された時。
____彼女は、この世を去るのだ。
彼女は幼い頃、母親から虐待を受けていたらしい。
虐待が発覚した後、身寄りのない彼女は、児童保護施設に預けられ、親の愛を知らぬまま育ったのだった。
そして高校生になり、俺は彼女に出会った。
少し茶色がかったロングヘアは、すらっと細身の腰まで伸びていて、とても綺麗だった。
飛び抜けて明るいわけでもなく、かと言ってクラスの端っこにいるような暗い子でもなかった。
隣の席になって、少しだけ話すようになった夏。
いつしか、彼女を目で追うようになっていた。
勇気を出して、デートに誘い、その日に告白。
答えは、"OK"
よっしゃあ!!とガッツポーズをすると、照れくさそうな彼女もまた、柔らかく笑っていた。
そんなある日のこと。
『 ねえ、こうちゃん 』
「 どうしたの? 」
2人がけのソファーで肩を並べる。
長い沈黙と彼女の悲しそうな顔で、少し不安になる。
『 私と出会ってくれてありがとうね? 』
「 ……っ、突然どうしたの 」
いつもの優しい顔で笑った彼女に、心臓がドキリと音を立てた。
時が止まった彼女の瞳が揺らめいて。
脆いガラスに、俺が映る。
『 大好きだよ、こうちゃん 』
「 …俺も。大好きだよ 」
何気なく交わった視線に吸い寄せられるように、キスをした。
とびきり甘く、とびきり切ない優しいキス。
こんなぽっちの幸せを、彼女と過ごすはずだった。
__ あの日までは。
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もちもちこねこ(プロフ) - fkrさんのお話をもっと読みたいです! (2020年7月8日 14時) (レス) id: 1da52e5d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドルフィン | 作成日時:2020年2月18日 18時