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A side.
「 …大丈夫? 」
前と同じ状況。
私の隣には、大好きな人が座っている。
無言の圧力とは、怖いものだ。
今の状況で話しかけるなんてこと、弱くて、素直になれない私には、到底無理な事だった。
手を伸ばせば、すぐ届く位置にいる須貝さんは、私の気持ちを察したのか、ソファーなら立ち上がり、私の前にしゃがんだ。
「 ……手、ぎゅって握ってもいい? 」
驚きと同時に、胸がトクンと高鳴った。
首を縦に振ると、須貝さんは、優しく私の手を包み込んだ。
「 …Aちゃんは、俺のことが嫌いなんだって思ってた 」
『 そんなこと…っ 』
「 うん、分かってるよ。…俺、あの時まだ気づいてなかったんだ 」
『 ……? 』
「 可愛がってしまうのも、お菓子あげてついつい甘やかしてしまうのも、全部全部、後輩だからじゃない 」
しっかりと須貝さんを見ると、その表情はいつもよりも真剣で、真っ直ぐだった。
ゴクリと、喉の奥がなりそうになる。
やだ、言わないで。
好きじゃないなんて聞きたくない。
須貝さんから、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「 ……Aが好きなんだ 」
『 うそ… 』
「 嘘じゃない。Aが好きでたまらないんだよ 」
『 …ホントに言ってるんですか、? 』
「 信じてくれるまで、なんだってする。デートでもハグでもキスでも、Aちゃんが俺のことを好きならなんでも 」
今度は、柔らかく笑った。
ああ、私が大好きな笑顔がまた見れた。
『 ……言いましたからね。責任とってくださいよ 』
「 …うん。俺、ずっとAちゃんの隣にいる自信ある 」
『…… 私も、須貝さんが好きです 』
「 知ってるよ、Aちゃん 」
まったく、人騒がせな人たちだ。って私も思う。
本当はずっと前から両想いだったのに、拗らせまくった結果がこれだもの。
私を抱き寄せて、彼は幸せたっぷりのため息をついた。
「 …A、俺のことが大好きーって顔してる 」
『 …須貝さんも、私のことが大好きって顔してますよ 』
「 ふふ、大正解 」
あと、呼び捨てかちゃん付けかどっちかにしてよ、とも思う。
そこら辺は、大目に見よう。
甘々な彼氏と素直じゃない彼女ならきっと。
スイートで魅力的な毎日が、これからを彩るんだろうな。
. 長くてごめんなさい。
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もちもちこねこ(プロフ) - fkrさんのお話をもっと読みたいです! (2020年7月8日 14時) (レス) id: 1da52e5d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドルフィン | 作成日時:2020年2月18日 18時