さよならを伝える前に【短編集】

SS トワイライト終着点 izw ページ29

A side.


" 生きる意味ってなんだろう "


私は生きるべく、何をしただろう。


今の自分への後悔は尽きることがなくて。


そんな時に出会ったのが、あなただった。


へんに真っ直ぐで、負けず嫌いで。


現実から、目を逸らして夢に逃げた私を、全力で受け止めようとしてくれた。


絵空事みたいな、私の未来を本気で信じてくれた彼に、私は救われた。


そんなことを思いながら、彼にぎゅっと抱きついた。



「 …A？ 」


『 ごめんなさい、しばらくこのままでいさせて 』



2人きりだから、という口実は成り立たないけど、この一瞬一瞬が、もったいなくて。



＿＿ ただただ、儚くて。



「 …よしよし 」


『 ……わたし、拓司くんに出会えてよかった 』


「 …そっか。それはよかった 」



拓司くんの大きな手が、私の頭を撫でる。


この暖かい時間が、続いてほしくて。


……ただ好きで。どうしようないくらい好きで。


醜いしか表せない私を、愛してほしくて…。



『 ……すき、だいすき、拓司くん 』


「 俺も好きだよ、Aちゃん 」


『 ……私の帰る場所は、拓司くんのところしかないの。だから… 』


「 俺の心も身体もAちゃんのものだから。誰のものでもない、Aちゃんだけ 」


『 …うん、っ 』



黄昏にしかなれない、わたしと。


もう散ることしかない、わたしと。


あなたは、愛してくれた。


今、" 私の生きる理由はあなた " だと伝えたい。



＿＿＿ この声は明日の君に届くかな。



＿＿ 届いていたら、いいな。



トワイライト終着点



.

スイートで魅力的な毎日を sgi→←#2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す