#3 ページ17
A side.
重い空気が肩にのしかかる。
ふくらくんと一緒にいた、河村さんは私の横を通り過ぎる前に、「 頑張ってね 」と声をかけてくれた。
河村さんには、なんでもお見通し。
こうちゃんが元気ない時もすぐ気づくし、今だってほら、私たちの空気を感じ取って、席を外してくれた。
視聴者から神だと言われる理由が、私には身に染みてわかる。
そしてふくらくんは、何事もなかったかのように、振舞った。
それがなんだか悔しくて。
鼻の奥がツンとするのをぐっとこらえる。
ふくらくんの顔を見るのが怖くなった。
「 ……A 」
『 …ふくらくん 』
「 …ここ、おいで 」
ポンポンと自分の隣を叩く、ふくらくん。
そこに座れという意思表示。
いつもより、少し間を開けて座ろうとすると、グッと腕を引き寄せられた。
そのまま、優しく抱きしめられる。
『 …ふくらくん、私、 』
「 何も話さなくていい。分かってるから 」
『 …… 』
背中に回った手はいつもより、強く。
少し弱った彼の服を、キュッと握った。
「 …あの話は、忘れて 」
『 ……でも、 』
「 …俺は、結婚しなくても、Aの隣にちゃんといられればそれでいいから 」
……ちゃんと言わなくちゃ。
このまま終わってしまう。
『 …違うの、ふくらくん 』
「……え、? 」
目をぱちくりさせるふくらくんの目を捉えた。
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もちもちこねこ(プロフ) - fkrさんのお話をもっと読みたいです! (2020年7月8日 14時) (レス) id: 1da52e5d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドルフィン | 作成日時:2020年2月18日 18時