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Izw side.
「 少し、落ち着いた? 」
彼女は、ブラックが飲めない。
ブラックに多めの砂糖を入れて、目の前のテーブルに置いた。
『 ……うん、ありがと 』
両手で持って、フーフーしながら口に運ぶ、一連の仕草を見つめながら、考える。
あれは完全に、暴走しかけた俺のせいだ。
何が俺にすればいいのに、だ。
自分の理性も抑えられない人間が、彼女に何が出来るのか。
考えても考えても、答えには辿り着かなかった。
『 ねえ、拓司 』
「 …ん? 」
『 もしこのまま、私が別れなかったら、拓司はどうするの…? 』
「 ……ずっと、好きでい続けるよ 」
『 …そっか 』
その先の言葉を言わなかったのは、優しい彼女なりの気遣いなのかもしれない。
どう足掻いたって、願ったって、俺の隣にいるはずないのに。
それでも君を求めてしまう俺は、可笑しいだろうか。
ぎゅっと、膝の腕で握り締めた手を、包み込む。
ぴくっと動いた肩に、反射で離してしまった。
「 …ごめん、俺また 」
『 違うの、嫌なわけじゃない。ただ…… 』
" これで、拓司が悲しむなら、私も悲しい "
俺の手を握り返した、小さな手が。
今度は、俺の頬を伝っていく。
『 …拓司、一緒に溺れよう 』
「 ……え、 」
『 …拓司が喜ぶなら、私を利用して。気が済むまで好きにして? 』
「 そんなことできるわけ…っ 」
触れた頬を引き寄せた、小さな手が首に回る。
優しい、優しいキスだった。
「 A……っ 」
『 …拓司と一緒なら、怖くないよ 』
「 ……A、本気で言ってるの? そんなことしたら、後には戻れなくなるって、わかってるの? 」
『 ……満月の夜なら、きっと私たちを許してくれるよ 』
彼女と犯した深いキス。
それは唇に、刻まれるように求めあった。
「 ……Aっ、 好きだ、っ 」
『 …私もっ、拓司が好きっ 』
夜もすがら。
俺たちは交わり、共に溺れていく。
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もちもちこねこ(プロフ) - fkrさんのお話をもっと読みたいです! (2020年7月8日 14時) (レス) id: 1da52e5d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドルフィン | 作成日時:2020年2月18日 18時