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wtnb side.
「 こうちゃん 」
聞き慣れた声の主は、伊沢さんだった。
ちょうどひと仕事を終えたのは、夜中の12時を回った頃。
パソコンの電源を落とし、伊沢さんから「 健康だから 」という理由で貰った野菜ジュースを飲んだ。
「 どうかしたんですか? 」
「 …いやぁ、まさか俺が覚えてて、こうちゃんが忘れてるわけないだろうなって思ってたんだけどさ、 」
" 2月18日、なんの日か覚えてるよね? "
伊沢さんが神妙な面持ちで尋ねてきて、思わず瞬きをした。
……なんの日?
聞かれてすぐは、なんの事だかぜんぜん分からなかった。
が、俺はこのあと後悔することになる。
「 …こうちゃん、まさかだけどさ、 」
「 えっ、となんかありましたっけ…? 」
「 …愛しのAちゃんの誕生日。ほんとに忘れてたの? 」
完全にやらかした。
なぜ俺は、伊沢さんに言われるまで気づかなかったんだよ。
……とんだアホだな、俺は。
大きなため息をつきながら、あきれた顔をみせる伊沢さんがこう続けた。
「 …Aちゃんに" 誕生日おめでとう! "ってメールしたら、可愛らしいスタンプが送られてきたけど 」
「 …まじすか 」
「 もう誕生日終わっちゃったけど、家行った方がいいんじゃねえの? 」
「……っ、先に失礼します!」
伊沢さんに一言だけ残して。
椅子にかかったジャンバーと鞄を雑にとり、Aの家まで全力で走った。
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もちもちこねこ(プロフ) - fkrさんのお話をもっと読みたいです! (2020年7月8日 14時) (レス) id: 1da52e5d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドルフィン | 作成日時:2020年2月18日 18時