名探偵の姉【名探偵コナン】 (ページ5)

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Ｆｉｌｅ３ページ5

彼女の膝の上で真剣に本を読むコナン。時折来る質問に答えながら彼女はその姿を眺めていた

瞳をきらきら輝かせながら推理小説に熱中する姿も、うわごとの様でありながら核心をついた呟きも、謎(トリック)を解こうと躍起になる姿も

『ふふ』

「？どうしたの？」

『なにも？ただ変わらないなぁって、思っただけよ』

「…そっか」

全てを見通す青い瞳でこちらをじっと見つめる。きっと本当かどうかを確かめるためのものだろう

それらが工藤新一そのもので、まったく変わらない姿に今度は彼が気づかないくらい小さく笑った

「コナン君も優希さんもなに読んでるの？」

料理を作り終えたらしい蘭が手を拭きながら話しかけてくる。気づいていないコナンは本から目を離さない

『蘭ちゃん。お父さんの新作小説よ。ご飯は作り終わったの？』

「後ちょっと煮込むだけ。あ、お風呂もうすぐで沸くと思うから優希さん先にはいってきて？」

『いいの？それじゃあお言葉に甘えてはいらせてもらうわね。そうだ、コナン君も一緒にいれていいかしら？』

「別にいいけど、疲れてない？大丈夫？」

『大丈夫よ。久々だから一緒に入ろうと思って』

「そう？じゃあお願い優希さん」

トントン拍子で進んでいく話にコナンは未だに気づいていない。その原因である本を、彼女はひょいと持ち上げた

「あっ」と声をもらし上を見上げるコナンに、彼女はにこっと笑う。そのまま本を閉じた彼女に、彼は不服そうな顔をした

『お風呂に行きましょうか』

「へ？ボクも…？」

「よかったねコナン君」

「え、ちょ、まっ」

唐突に告げられた言葉に戸惑うコナンをよそに、彼女は彼を抱き上げて歩きだす。『こっちでよかったかしら？』という彼女の言葉に蘭は頷いた

小さな頃はよくお邪魔していたためか勝手は分かっている。迷う事もなく脱衣所までついたところで抵抗していたコナンを降ろした

『さて、お風呂に入りましょ？コナン君？』

後ろ手にドアの鍵をかけられ逃げられない事を悟る彼に、彼女はくすりと笑う。そんな彼女にコナンはわなわなと身体を震わせ口を開いた

「ッバーロー！俺たち姉弟だぞ！姿は小せえけど新一なんだからな！？」

『知ってるわよ？なにか問題かしら？私は久々の姉弟水いらずでとても嬉しいのに…新ちゃんは嬉しくないの…？』

「ッ…！」

瞳を潤ませてコナン基新一を見つめる彼女に、彼はなにも言えなくなる。演技だとわかっているのに姉のこの顔に弟は弱いのだ