来世でもあなたに出会えると信じて【楓原万葉】

来世でも4 ページ5

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「今日は大変だったでござるな。」
「…。」
「約束。」
「えっ…？」
「拙者との約束を忘れたのでござるか？笑顔で居続けて欲しいと言っただろう。」

彼はそう言うが、傷だらけの彼を見て笑ってはいられなかった。彼を傷つけたのは、他でもない私という存在。

人々から殺 せと何度も言われても、これまでは彼の言葉によってそれは拭えたはずだった。なのに…。

(本当に…このままでいいの？)

いつの日か夢を見ていた。もし私たちがこの世界の宿命を背負う程の人間じゃなければ、どれほどよかったと。

「…いいから、お主は休んでいてくれ。」
「…うん。」

彼はそう言って、いつも私のために寝る時間を惜しんでくれた。私が彼に出来ることと言ったら…。

(…いつもはこれ以上のことを考えなかったのに。)

今日は何故かこの考えが頭から離れなかった。傷だらけの彼を癒せる方法は無いのかと考えたが、結局は一つの答えに辿り着いてしまう。

「……すぅ…すぅ。」

寝ている彼には申し訳ないが、私に出来ることといったらこれだけ。

いつでも私を第一に考えてくれた楓。私を守ってくれた愛おしい存在。

「さようなら」

いつの日か出会えた時に、私という存在を探してほしいという淡い想いを馳せながら。

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