来世でも3 ページ4
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逃亡生活を続けて14年。今日も私と楓は二人で遠い大地に足を踏み入れていた。綺麗な小川に、小鳥の囀りが聞こえる。
(……今日は、ここでじっくり休んでいたい。)
小川に素足で入る私に、楓は危ないぞと言いつつも入ってきた。
「あなたと一緒で良かったです。」
「…ん?突然どうしたんだ、A。」
「…いえ?ただ、あなたと一緒じゃなければこうして生きた心地を味わえなかったので。」
「おかしなAだな、そうだ今日は──」
楓と呑気な会話をしていると、突然森から足音と人の声がした。
「ここだー!枯がいるぞー!」
「…捕まってて。」
楓はそう言って私の靴と彼の靴を私に持たせ、ひょいとお姫様抱っこをした。素足で森の中を翔ける彼は、いつも以上に焦って見えた。
(…やっぱり、私がいる以上彼に平穏な日々が来るわけない。)
「何を考えておるか分かるが、そんなことにうつつを抜かすのではないぞ!」
「……。」
そして更に奥深くに進んでいくと、洞窟が見えた。
「…今日はここで寝泊まりしよう。」
「……。」
「A、死ぬでないぞ。」
「…分かっています。」
傷だらけの足を見て、私は彼に罪悪感を覚えてしまった。
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りん。 - とにかく好き!!世界観が綺麗すぎる、、、主人公が辛すぎる (2022年11月17日 17時) (レス) id: b8640692aa (このIDを非表示/違反報告)
天野アリサ(プロフ) - さめさん» コメントありがとうございます!!深夜テンションで書いてしまった作品ですが、世界観が好きと言っていただけて何よりです…!主人公達の思いなど、ぎゅっと詰め込みましたので心が抉られると言っていただいたのはめちゃくちゃ嬉しいです…! (2022年11月17日 16時) (レス) id: 08985c907f (このIDを非表示/違反報告)
さめ - 何このエモいストーリー…。好きです、世界観が美しくて主人公達の葛藤が見てて心えぐられましたもん… (2022年11月17日 14時) (レス) @page9 id: 55a1b0cf19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いるか | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月17日 5時