70 ページ25
.
( …あー、マジか )
.
.
地面に落ちた紙パックを呆然と眺める。
勝手に願掛けしただけなのに、やっぱりダメかもしれないなって弱気な考えがじわじわと広がり始めて。
ぎゅ、と目を瞑って俯いた瞬間、下から聞こえてきた足音。
.
.
( っ、もしかして、 )
.
.
ハッと目を開けば、視界に映った揺れる金色。
相変わらず紙パックのトマトジュースを飲んでいる彼は、私が落とした同じ物を拾ってゴミ箱に入れた。
それから顔を上げてこちらを向いて、あの日みたいに、バチッと目が合う。
.
.
「 こんなとこで、なにしてんの 」
.
.
初めて会った時と同じ言葉、でも前よりずっと優しい声。
大我はいつもみたく、ふって口角を上げた。
.
.
「 …帰ったかと思った 」
「 ごめん、ボール飛んできたから届けに行ってた 」
「 そっか 」
.
.
「 グラウンド広すぎるし、俺足遅いから届けるのに時間かかっちゃった 」なんて笑いながら階段を上がってきて、私の立っている段に座る。
.
.
「 てか、Aもやってるんだ 」
「 ん？ 」
「 投げ入れるやつ 」
「 さっき初めてやった 」
「 あ、そーなの？ 」
.
.
まぁこれは1回2回で出来るようになるもんじゃないから気楽にね、って上から目線な大我。
ドヤ顔されても、ムカつく！より、その表情も好き！が勝っちゃうんだよなぁ。
.
.
「 もうすぐ飲み終わるから俺の分もやってみる？ 」
「 やってみる 」
「 ん、ちょっと待って 」
.
.
ズズ、と音を立てて少し、中身が無いかどうかを振って確認した後でそれをグシャリと潰した。
それから、はい、と手渡された紙パック。同じ様に狙いを定める。
.
.
" これが入ったら、告白が上手くいく "
.
.
投げる瞬間に思い出す、さっきの願掛け。
もう一度手から放たれたそれは、
.
.
「 …は、ちょっと 」
.
.
ガコン、と音を立てて、ゴミ箱に吸い込まれた。
…入っ、た？
.
.
「 っねぇ、2回目で入れられたら俺の立場ないじゃん、 」
.
.
マジでなんなの、って大我は頬を膨らませる。
そんな彼に、ちゃんと伝わりますようにと、じっと見つめて。
.
.
「 …ん、どしたの 」
.
.
「 すき 」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2003人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紺(プロフ) - にこさん» 嬉しいです！！ありがとうございます*^^* (2021年8月9日 8時) (
レス) id: 55c78b94af (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 面白かったです！完結おめでとうございます (2021年8月8日 14時) (レス) id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - わたぐもさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けた様で良かったです*^^* わわ、そっちも読んで頂いてるんですね…！更新頑張れます、ありがとうございます！！ (2021年6月25日 12時) (レス) id: 55c78b94af (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - ティーさん» ありがとうございます！！やっと付き合ってくれました！！()いつもコメントくれてマジで支えになってました*^^* 次の時もぜひ！よろしくお願いしますっ！ (2021年6月25日 12時) (レス) id: 55c78b94af (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - このスピードで進んでいくのがとっても好きでした！素敵な時間をありがとうございました！さっくんの方も楽しく読んでます！紺さんのペースでの更新を待ってます！ (2021年6月25日 2時) (レス) id: d1f867438f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺
| 作成日時：2021年5月3日 16時
