6色と#ffffffの彼女【東海】 (ページ47)

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◎出会ったのは #茶ページ47

虫「小栗さんはフロア担当。僕とてつやも同じ」

虫「注文取るのはまだ多分難しいから、最初のうちは料理運んだりお皿下げたりが中心になるかな。
テーブルは番号がついてて、あっちから……」

『あっちから、1番2番3番、ダーッと来てここは13番…ですよね』

虫「え、何で知っとるの？」

『さっき通った壁に貼ってあったの見ました』

…え、本気で言ってる？？
確かにあの壁には、テーブルの位置と番号の図が壁に貼り付けられてるけど。
だって通ったのなんてほんの一瞬だよ？

虫「…へぇ、やるじゃん」

『へへ、ありがとうございます』

…普通に褒めればいいのに、僕も大概素直じゃないな。
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑う目の前の人は、僕が思っていたより遥かにできた人間だったみたいだ。

接客の流れや作業の優先順位、手が空いたら何をするかなどをおおまかに説明していく。
相槌を打ちながら、真剣に僕の話を聞く彼女。本当に礼儀正しいし真面目な人なんだな、と感心。

昼にかけてさらに混雑する時間帯になってくる。
あ、あのテーブルお皿空いてるわ。今手が離せないから片付けてもらおうと思って小栗さんを探す。…と、彼女は既にそのテーブルに歩いて行って、両手にいっぱいのお皿やプレートを持って帰ってきた。

…普通、最初ってなかなか勇気出ないもんじゃないの？少なくも僕はそうだったけど。
また密かに感心しながら、戻ってきた彼女に話しかける。

虫「そういえば大学どこ？」

『愛教です』

虫「同じやん」

『え！ホントですか？！』

大きな目をさらに大きく見開いて、顔いっぱいで驚きを表現する。…そんな嬉しそうにしないでよ、せっかく抑えたのに顔緩んじゃうやん。

学部も同じだった事が分かり、バイト中なのにも関わらず大学トークで盛り上がる。
彼女は話も上手くて、年下なのを忘れるくらい喋っていてとても楽しい。

て「ちょっとー！何いつの間に仲良くなってんの！」

『聞いててつや、私金澤先輩と大学同じだった！』

僕らの楽しそうな声を聞いてやってきたてつやは、拗ねたようななんとも言えない変な顔。
それに対して小栗さんが余りにも嬉しそうに言うもんだから、その顔はさらにぶすっと下唇を突き出した。

礼儀を怠らず仕事ができて要領もいい。言ったことはすぐに吸収し、実行に移せる。おまけによく笑ってよく喋り、(僕みたいな偏屈な)人ともすぐに打ち解けられるときた。

…僕の予想はハズレもハズレ、大間違いだったということだ。