6色と#ffffffの彼女【東海】 (ページ45)

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◎出会ったのは #茶ページ45

虫眼鏡side

て「ねぇねぇねぇざわくんざわくん！！」

バイトの休憩中水を飲んで一息ついてたら、休憩室のドアを勢いよく開けててつやが入ってきた。
それはもう、満面の笑みで。

虫「なにてつや、うるさいなぁ」

て「俺と高校一緒だった子がここのバイト入ったって！！明日から来るらしい！」

虫「なに、そんな事？」

高校時代の友達とバイト先同じになるなんて珍しいことじゃないやん、地元なんだしよくあることでしょ。

て「そんな事ってなに！俺にとってはちょー嬉しい事なんだけど！」

虫「何がそんなに嬉しいの」

て「Aはまじで面白くて楽しいの、しかもかわいい！」

虫「出た『かわいい』。てつやは好みの顔だったら誰でもいいもんね」

て「はぁー？まだ3ヶ月しか俺の事知らんのになんでそんな事言える？」

虫「見てたら分かるわ好みのタイプくらい」

現にこの3ヶ月でてつやと帰る女を何人見たことか。
彼女らはみんな例外なく、瞼はキラキラ、髪はクルクル、爪は色とりどりに染められた、派手な女ばかりだった。

て「Aはざわくんが思ってるような子じゃないし！」

虫「へー。別にどうでもいいけど、迷惑だけはかけないでよね」

て「かけんわ！！いい女過ぎて惚れちゃうかもよざわくん」

虫「それは絶対ないわ」

て「どーだかね～～～」

てつやは「どうだかどうだか♪」と変なリズムの変な歌を口ずさみながら休憩室から出ていった。

てつやの仲良い友達でしょ？
どうせバカで無駄にうるさくて先輩にタメ口聞いちゃうような、チャラチャラした女だら？

…はぁ、まじで勘弁してくれ。そんな女と一緒に働くなんて、できっこない。

割とこのバイトは気に入ってる。てつやはうるさいけど人はみんな悪くないし、とりあえず稼ぎたい僕にとってはシフトをがんがん入れられるここは好都合だ。

…それなのに。
その女明日から来るって言ってたっけ？
……はぁ、明日が憂鬱で仕方ない。

虫「…まったく」

僕のこんな気持ちも知らずに、よほどその女が来るのが楽しみなのか、最大のにやけ顔で仕事再開の準備をするてつやを、静かに睨んでおいた。