【歌い手】シェアハウスさせてもらうことになりましたが、 (ページ23)

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霞み - Eve ページ23

Eve side
やっぱりこむぎさんも気にしていたか＿と、全てが予想通りだった。腑に落ちたと言うのが正しいかは分からないが、頷ける。
昨日も決して口数が多かった訳では無いが、今日のこむぎさんはどこか窺った様子だった。それに96ちゃんとSouちゃんが気付いていただろうか。彼らもそういうことを気にしがちだから、気付いていない方が良いと思った。

この場にはそらるさんだけが留まり、加えてluz君とnqrseちゃんが来た。

｢つかまじでさ、まふ君どうしたん？打ち合わせの時もずっと俯いてたんだけど｣

nqrseちゃんは階段の方を一度見て人の気配がないことを確認してからそう言った。

｢打ち合わせでもそうだったの？｣

｢うん。だからいつもと比べて活発ではなかったな｣

luz君はXYZを回している重要な人だが、まふ君もそれと同じくらい重要らしい。＿＿言ってしまえば全員何かしらの役割はあるらしいが、最終的な決定はその辺りの人で下すらしい。
打ち合わせの様子を知らない僕は情景を想像する。確かにまふ君が黙っていたら、そらるさんや＿他のメンツは知らないが、話をする人がいてもそれは案として留まるだけに思う。

｢こむぎかな｣

そらるさんは躊躇なく淡々と言った。

｢今日はどんな感じだったの？4人で出かけたって聞いたよ。96猫が写真送ってきて｣

僕はその問いに、さっきまでの様子に少しの主観的考察を加えて答えた。

｢＿まあ、事実とは違ってもそれで気を張らずに済むのなら良いかなと思って、まふ君はいつも通りだって言っちゃったんですけどね｣

｢それ普通にファインプレーだろ。あぁだからすれ違った時ちょっと涙目だったのか｣

nqrseちゃんは視線を逸らして言う。そうか、すれ違っていたのか。こむぎさんはきっと気づかれないために逃げただろうに、変なところで察しのいいnqrseちゃんには気づかれただろう。

｢いずれ慣れるんちゃう｣

｢そうだといいけど。96ちゃんの時は96ちゃんが根気強く話しかけ続けてたからどうにかなったって感じだったしな｣

nqrseちゃんはそう言って立ち上がり、｢戻るわ｣とだけ言って部屋へ行った。それを起点に全員が部屋に戻った。

あの場では丸く収めたものの、いずれそれがこむぎさんを傷つけてしまうかもしれない。まふ君が長くこもれば自責の念に駆られてしまうだろうし、早くに慣れて部屋から出るようになったらあれが嘘だと勘づかれてしまう。でもどちらにせよ、今の彼女が責任を感じずに済むならそれでいいとも思った。